日経平均2万円割れも覚悟せよ、米中貿易戦争「6月末までの読み方」

織り込むべき要因を網羅する
鏑木 邁 プロフィール

なぜ、うまくいくとみられていた米中貿易協議は不発に終わったのか。米国経済に詳しい中堅証券アナリストはこう解説する。

「今回の協議をめぐる報道で着目すべきは、日本の10連休を挟んで突然米国側の怒りが強まったことです。米通商代表部のライトハイザー代表は元々強硬派でしたから、彼の過激な発言は想定内として、普段中国に厳しいとは思えないムニューシン財務長官までもが怒りを露わにしたことが、協議の不調を表していました。

中国側が産業補助金をめぐる条件を緩めるように米国側に要求したとされていますが、これには二つの背景があると思われます。まず、中国が景気対策を本格化させており、国内経済が想定より強いと共産党指導部が判断したことがあります。

二つ目は、中国内での習近平主席の地位です。米国に対してあまりに譲歩したとなると、権力基盤が脅かされかねない。この二つの要因から態度を強め、米国の反発を買ったというのが実情だと思われます」

 

さらに、トランプ大統領が来年に大統領選挙を控えていることも、中国に対して早期の妥結を迫る大きな要因となっている。

トランプ氏は11日、ツイッターで再選されることを前提に「私の2期目に交渉すると、中国にとってさらに不利な取引になるだろう」と警告し、中国側の譲歩を迫った。また、「中国はひどく打ちのめされた。次期大統領選で民主党が勝つことを待ち望んでいるかもしれない」とけん制した。

民主党の次期大統領有力候補であるバイデン前副大統領は親中派とされているだけに、トランプ氏は8日「中国が交渉で後退している理由は、バイデン氏ら弱腰の民主党と交渉したいという切実な願いがあるからだ」ともツイートしており、選挙を見据えたイメージ戦略として中国に強硬姿勢をとっているとみられる。

先の中堅証券アナリストは「トランプ政権は法人税の引き下げなどの目玉公約をほとんど実現してしまったため、イメージ戦略に依存する傾向を強めている可能性が高い」とも指摘する。

トランプ政権の本気度

米中貿易摩擦の長期化は避けられない状況となってきたが、通商協議自体は継続されることが決まっている。国内運用会社ストラテジストは、行方を見極めるためのポイントをこう指摘する。

「一つ目は、本当に関税引き上げが実施されるのかということ。トランプ流交渉術のブラフ(脅し)であるとの見方が、まだ市場では根強いです。

今回2000億ドル分の引き上げが決まったわけですが、適用されるのは5月10日以降に中国から米国に輸出されて通関した製品で、対象品目の2割程度を占める消費財は、船便で2週間から1カ月かけて運ぶものも多い。

実際に関税の効果が出始めるのには時間があるため、その間にUSTR(米通商代表部)が引き上げを猶予したり妥結したりすれば、結局ほとんど両国には実害がないことになります。逆に言えば、この期間を超えてまで引き上げを続けるとなると、警戒感が圧倒的に高まるといえます。

二つ目は3250億ドル分の引き上げについて、どの程度アメリカが本気かということです。

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