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患者には出しても、医者なら「まず飲まない薬」

薬とは一体何なのか…

医者の半分は飲んでいない

「私は医者ですが、できるなら薬は飲まないのが一番いい。それは確信を持って言えます」

こう語るのは内科医で高雄病院理事長の江部康二氏。同氏は52歳のときに糖尿病と診断されながら、一切、薬は飲まずに食事療法と運動療法だけで、糖尿病を克服した。

「現在69歳になりますが、おかげさまで合併症(視力障害、腎臓障害など)もなく元気に過ごしています。

なぜ私が薬を飲まないのか。それはいくら薬を飲んでも糖尿病自体は治せないからです。薬をやめるとまた元に戻ってしまう。一生薬を飲み続けないといけないのは、大きな負担です」

多くの患者は、医師から「ちゃんと毎日飲み続けてください」「やめると悪化しますよ」と言われ、高血圧や糖尿病など生活習慣病の薬を長年飲んでいる。当然、患者たちは「病気を治すために薬を飲んでいる」と信じ込んでいる。

だが、それは大きな間違いであることを医師たちは知っている。事実、患者には出しても、極力自分では薬を飲みたくないという医師は多い。

江部氏が続ける。

「生活習慣の乱れが原因の2型糖尿病に薬は必要ない場合が多いと思っていますが、中でもグリミクロンやアマリールなどのSU薬は、糖尿病に詳しい医者であれば、まず飲みたがりません。

低血糖になりやすいからです。近年、SU薬は本来血糖値を抑えるべき食後ではなく、夜中に効き過ぎて『夜間低血糖』を引き起こしやすいこともわかってきました」

夜間低血糖が続くと心臓や認知機能に悪影響を与える。致死性の不整脈を起こして、突然死を招くこともあるのだ。

 

こんなデータがある。「日経メディカル」が医師2286人(30代以上)に健康状態についてアンケートを取ったところ、約68%の医師が、高血圧や脂質異常症など何らかの「持病」があると答えた。

その一方で「薬を常用しているか」という質問に対しては、服用していないが約53%、1種類の服用が16%、2~3種類が21%、4~5種類は7%にとどまった。

片や、患者を見てみると、日本老年医学会のデータによれば、40~64歳で5種類以上飲んでいる人は24%。65~74歳では30%にも上る。

患者には薬を出しながら、医者自身は薬を飲むメリットをあまり感じていないことが見てとれる。

なぜ、医師は自分では飲まないのに、患者には薬を出すのか。その理由の一つとして、医師たちは「ガイドラインに従って、基準値まで薬で下げておかないと、患者さんが脳卒中や心筋梗塞を起こした際に責任が取れないから」と主張する。

基準値に最も振り回されているのが、いまや国民病とも言える高血圧だ。4月末にはガイドラインの改訂により、目標値が「130/80mmHg」に引き下げられる予定で、このままいくと日本人の約半分の6300万人が高血圧と診断されてしまう。これはさすがに「目標値がおかしい」と言わざるを得ない。