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野村HD・永井CEOの告白「我々は今『潰れる恐怖』と戦っている」

直撃インタビューに答えた
浪川 攻

我々は潰れる恐怖と戦っている

――勝ち目はあるのか。

当社の顧客口座数は証券業界でナンバーワンであっても、大手銀行の預金口座数の8分の1足らずしかない。それではお客様の裾野は広がらないのだから、自前でいくらやっても勝ち目はない。しかも、地道な努力ができるのか。たとえば、駅頭で口座新設に向けたチラシ配りに汗を流せるのかといえば、配れないし、配る気もないだろう。LINEは約7900万人のユーザーがいる。ところが、彼らには提供する金融サービス、プロダクトがない。我々にはそれがある。

――ビジネス改革よりも社内改革のほうが先決な感じがするが。社員には何を腹落ちさせようとしているのか。

端的に言うと、赤字の会社である事実を認識せよと訴えている。部店長会議でも、潰れるとまでは言わないまでも大変な状態であると語った。社内に危機感がまったく足りないからだ。しかし、我々は潰れる恐怖と戦っている

 

もちろん、現場の社員のモチベーションという問題にも関わるので、「ウチの会社は本当に大丈夫か」というムードがあまりにも強まれば、それは問題である。しかし、純粋民間会社である以上、「親方日の丸」的に潰れるわけがないと思われても困る。いまはどちらの雰囲気が勝っているかといえば、明らかに後者のほうだ。

ご存知のように、当社は給料水準が高い。福利厚生も充実している。なぜかといえば、他人よりも働いたからだ。みんなが必死になって働いたからだ。裏返して言えば、赤字が続けば、良好な給料水準をエンジョイできなくなる。それが資本市場の論理でもある。当社はその論理で動いている以上、そうなるしかない。であれば、生産性を上げるしかない。

――1年を振り返ると不祥事が目に付いた。これも社内のムードと関連するのか。

その問題は取締役会などでも幾度となく議論した。「なぜなのか」「なぜ、こんなことが起きるのか」と。いろいろと要因は出てくるのだが、何かひとつ、これが原因であるとは言えない。会社全体の状況が複合的に重なって起きている。もちろん、現場の規律の緩み、風紀の乱れ、プロとしての認識の甘さ等々、経営としてはもろもろのことに看過できない。

それにしても、お客様のおカネの着服事件など信じられないような内容ばかりだ。もちろん、経営の責任は免れないが、本当に唖然とさせられた。