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野村HD・永井CEOの告白「我々は今『潰れる恐怖』と戦っている」

直撃インタビューに答えた
浪川 攻

元には戻れない

――しかし、そのリスクは昨年末よりも相当に早い時期から潜在していたはずだが。

その通りだ。皮肉にも、その結果として、当社のバランスシートの健全性は格段に向上して、自己資本はTier1レベルで18%という、いわば、製造業並みの高いレベルとなった。しかし、このような環境がずっと続いたら、経営は行き詰まりかねない。したがって、根底からビジネスモデルを変えざるを得なくなった

 

じつは、かなり以前から欧州は厳しいと考えていた。とくに、2年前にブレクジットが起きて、その思いはなおさら強まっていた。当社は経営資源をロンドンに集中させていただけに、その態勢の抜本的な見直しが不可欠になった。だが、当社が取り組んだリストラはビジネスの集中と選択だった。これは、いずれ、状況がもとに戻れば、元の態勢に復元するということを前提にしていたものだった。しかし、もはや、元には戻れないと確信した。戻れないし、戻らない。リクイディティ・プロバイダーとしての役割の出番は当面やってこないだろうと。

――結局、野村は絶えず変化する市場と社会の動きにキャッチアップできていなかったではないか。

そう言わざるを得ない。キャッチアップできていたら、こんな事態にはならなかった。

――新戦略を巡っては、リストラによるコスト削減が話題になっているが、むしろ、聞きたいのは、野村グループはどう変わるのかということだ。この点はどうなのか。

メガトレンドが変わらないという前提に立つ限り、ホールセールのなかで大きなシェアを占めてきたセカンダリートレーディングに成長は期待できない。シェア拡大は目指さず、資本投下も控える。代わって、プライマリー、アドバイザリー系にリソースはシフトする。ここは十分にディールができている分野だ。

――プライマリーとセカンダリーは密接なはずだ。実際、野村は強大なセカンダリーマーケットパワーでプライマリーを支えてきた。

その通りだ。セカンダリーは米国ですら3%強のシェアを有している。しかし、米国の投資銀行ではこの数年、グローバルマーケッツのビジネスをまったくやらずに、アドバイザリーだけを提供しているハウスもかなり出ている。ラザード社などがそうだ。

確かに、プライマリーの展開にはセカンダリーの基盤がある程度構築していることが条件と言えるが、セカンダリーは機関投資家のビジネスだけではない。当社はリテールを含めて強みがある。これを放棄するつもりはまったくない。