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野村HD・永井CEOの告白「我々は今『潰れる恐怖』と戦っている」

直撃インタビューに答えた

1004億円の最終赤字――。2018年度決算で野村ホールディングスは巨額の損失計上を余儀なくされた。もちろん、トップ証券の座からの転落である。背景にあるのは国内外における事業の不振である。

そこで、いま、同社は事業モデルの再構築に動き出した。海外では各拠点の縮小などを加速させ、国内では店舗の統廃合を急ぐ。一方、国内では不祥事が相次で発生した。いったい、資本市場の圧倒的な存在として君臨し続けてきた野村に何が起きているのか。野村ホールディングスの永井浩二・グループCEOを直撃インタビューした。

(取材・文:浪川攻/写真:西崎進也)

〔photo〕インタビューに答える永井CEO
 

ビジネスモデルが崩壊した

――前年度は巨額の赤字だった。なぜか。

伝統的な投資銀行モデルが世界中で崩壊してしまった。商業銀行とのミックス形態のビジネスモデルはなんとか健闘しているが、海外では典型的な投資銀行ビジネスを営む一方で、国内では伝統的なブローカレッジハウスであるという組み合わせである当社はこの一年、残念ながら、まったくいいところはなかった。

――確かに、伝統的な投資銀行モデルは世界的にみて絶滅危惧種とすら言われている。

リーマンショック後の景気落ち込みに対処するために、世界的に中央銀行による金融緩和が行われてきた。財政政策に限界性があるため、先進国は金融政策に依存する経済政策を強化した。それによって、いずれ、経済が回復すれば、金融政策も正常化するだろうと考えられてきたが、予想外に状況は戻らなかった。

 

2014年からFRB(米連邦準備理事会)が量的緩和の出口政策であるテーパリングを開始したので、私もこれでようやく正常化に向かうと思っていたのだが、その後、次第にそれとは異なる情勢に変わっていった。それが最も明確化したのが昨年末のFRBによる政策姿勢の転換だった。量的緩和をやめ、徐々に市場と対話しながら正常化に向けて金利を引き上げていたが、その政策スタンスを放棄してしまったと言える。これによって、当面、正常化は遠のいたことが決定的になった。

先進国の中央銀行が市場から債券を吸い上げ、しかも、金利はほとんどゼロか、マイナス水準である。機関投資家には債券売買する意味がなくなっている。自社のバランスシートにレバレッジをかけて、お客様が買いたい銘柄を自らの在庫から提供し、売りたいお客様からは引き取ると言う流動性の供給業者(リクイディティ・プロバイダー)の意味もなくなってしまった。当社はその一社にならない。