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要介護親の「預金を管理」したら、泥棒扱いされた51歳男性の悲劇

姉がかけてきた一本の電話
太田 差惠子 プロフィール

トラブルを防ぐ「3つのポイント」

もしかすると、この母親も、姉に対しては目に涙を浮かべながらこう話したかもしれません。「タロウに通帳を持っていかれちゃったのよ。月々、5万円しかくれないの。お金が掛かって大変だってうるさく言うから、『困ったら、私の通帳のお金を使って』って言ったんだけど。何に使っているか、分かったものじゃない。キャッシュカードまで持っていかれて」と……。

だとすれば、姉の「物言い」はあながちひどくもない、と言えるのではないでしょうか。あるいは、母親は姉ともめることを避けたくて、姉が一方的にまくしたてたストーリーに相槌を打ったかもしれません。

 

タロウさんのような話は、珍しいことではありません。別の姉妹の話ですが、姉が同居で母親の介護をし、金銭管理も担っていました。ある日、訪ねてきた妹は姉に対し、「お姉ちゃん、お母さんのお金で自分の洋服を買っているんでしょ」と言いました。姉の怒り様は、文字ではうまく表現できないほどのものでした。

では、このような事態に陥らないためにはどうすれば良いのでしょう。大切なポイントは3つです。

① 親の通帳やサイフを預かるときには、きょうだいがいる場合は事前に話し合う。誰が何を預かるか、はっきりさせておく。

② 親の通帳やサイフから出金するものについて、事前に取り決めきょうだいに周知しておく(タロウさんのように、遠距離介護の交通費を出金する場合も、事前に話しておく)

③ 親の通帳やサイフから出金したもの、あるいは立替えたものについては、「仕事の経費」感覚で帳簿を作って、いつでも見せられるようにしておく。領収書やレシートも残しておく。

この3つを怠らなければ、タロウさんのケースでは、姉とのイザコザを防ぐことができたといえるでしょう。

③について、私は「介護家計簿」と命名していますが、親の金銭管理を代行する場合には欠かせないものです。中には、きょうだいだけでなく、疑い深い親もいます。疑いをかけられたら、サッと見せればいいでしょう。