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要介護親の「預金を管理」したら、泥棒扱いされた51歳男性の悲劇

姉がかけてきた一本の電話
太田 差惠子 プロフィール

「顔」を使い分ける親

これで一件落着と思われたのですが……昨年、母親が心臓の病気で2週間ほど入院。退院後も通院しなければならないため、タロウさんは2か月で9回も東京と兵庫を往復しました。交通費は計30万円ほどに。母親は「私のためにかかる費用は、私の通帳から出してくれたらいい」と言いました。「少し悩みましたが、あまりにお金が出ていくので母の気持ちに甘えることにしたのです。通帳と一緒に、母のキャッシュカードも預かっていたので、交通費分を出金するようになりました」とタロウさん。しかし、母親からその話を聞いた姉から予期せぬ「物言い」がついたのです。

 

姉からタロウさんに電話が掛かってきました。

「あなた、お母さんの通帳を預かっているんだって?どうしてよ」
タロウ「近所の工務店が頻繁に来るようになって、要らぬ工事をされることが続いたんだよ」
「私は、聞いていない」
タロウ「そりゃ、滅多に顔を出さないからさ」
「あなた、東京からの交通費はどうしてるの」
タロウ「お袋の通帳から降ろしているよ」
「はあ~っ。あなたの交通費を、お母さんの通帳から降ろしているの?なんで、そんなことするのよ。自分の交通費くらい、自分で出しなさいよ。情けない」
 次第に、受話器越しに言い争いに……。そして、姉が大声で……。
「あなた、交通費だけじゃなく、ほかにもお母さんのお金をくすねてるんでしょ」
 あまりの言われように、タロウさんは、電話をプツンと切りました。「姉には、2度と会いたくない」とタロウさんは顔を歪めて舌打ちしました。

〔photo〕iStock

タロウさんの話を聞いた限り、なんて「ひどい姉」と感じますが、以上はタロウさんの言い分です。もし、姉にインタビューをすれば、まったく違った話になるかもしれません。

時として、親の対応によって話が複雑化していくこともあります。このケースではわかりませんが、親は子によって「顔」を使い分けることがあります(恐らく、子の気持ちを引こうとするのでしょう。あるいは、目の前の子が怖くて、思っていないことでも言われるままに頷いてしまうことも)。