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1年で約100人のヤメ暴や受刑者を支援して見えた「理想の社会像」

やり直しのできる社会を目指して

1年で100人近くのヤメ暴や受刑者を支援

本コラムでは、「暴力団」にテーマを限定して稿を重ねてきた。

今回は少し趣向を変えて、筆者が携わる更生保護就労支援事業において日常的に接する保護観察中の刑余者(刑務所等に収監経験があり保護観察を受けている人)を取り巻く状況について紹介してみたいと思う。

更生保護就労支援事業とは、法務省の地方更生保護委員会が管轄する保護観察所から就労支援依頼を受けた者に対して為される行政サービスである。

 

就労支援の対象者は、少年から成人までの保護観察処分を受けている人で、本人が「就労支援」に同意する場合。または、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後6ヵ月以内に生活ができなくなった人に限られる。後者のことを「更緊(更生緊急保護)」という。

本稿を目にされた方で、身近に出所後生活できなくて困っている人がいたら、1日も早く最寄りの保護観察所に「更緊」申請するように勧めていただきたい。

彼らは、友人、知人などの伝手を頼って居住・就労する傾向があるが、結構な割合で「当てにならない友人や知人」のケースが散見され、出所早々から行き詰まることも珍しくない。

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筆者の元には、福岡県外から「生活できないがどうしたらよいか」という電話やメッセージがある。こうした行政のサービスを知っていると、ヤケになって犯罪的なシノギをしなくても、その日から健康で文化的な生活が営める。

就労支援事業は、全国的に観察所やハローワークOB、保護司などの実務経験者で組織される「NPO就労支援事業者機構」で対応されているが、福岡県では、全国で唯一、民間企業(株式会社アソウ・ヒューマニーセンター)が事業を受託し、運営している。

筆者らは、平成30年度中、1年間で92名の対象者の就労支援を行った。支援を必要とする方の年齢は様々であり、16歳から85歳までを対象とした。

就職率はというと、およそ70%である。

人手不足という社会状況も追い風になっていると思うが、刑余者に対する「社会のまなざしの変化」にも助けられていると日々感じている。