経産省20代キャリア官僚「覚せい剤密輸」にちらつくダークウェブの影

激務のストレスで手を出した…?
松岡 久蔵 プロフィール

西田容疑者は省内で注射器を使用していた常習犯であり、郵便物の受け取り場所を自宅以外の場所に指定した点をみても、違法薬物の購入に慣れていたことがうかがえる。しかし、どれだけ匿名の取引・決済方法を駆使しても、やはり海外ディーラーからの個人輸入は無謀だったのかもしれない。

西田容疑者の密輸手口の詳細については今後の捜査情報や供述が待たれるが、近年の暗号通貨利用者の拡大などもあり、今後はダークウェブを利用した薬物犯罪が増加することも考えられる。対策は可能なのだろうか。

「ダークウェブは秘匿性が高く、捜査機関であっても、直接セキュリティを突破することは不可能です。ですから、表層ウェブにおいてブラックマーケット運営者が手がかりを残すのを待ち構える、という捜査方法が主流です。事実、今月初めには海外の大手ブラックマーケット『Wall Street Market』の運営者が、表層ウェブ上で不注意から身元につながる情報を残して逮捕されています」(木澤氏)

 

だが大手サイトが潰れても、再び新たなサイトが生まれ、違法取引が一掃されることはない。ダークウェブに跋扈するブラックマーケット運営者やディーラーと当局の攻防は、国際的にもまさしく「いたちごっこ」の状況だ。

いみじくも今回の逮捕劇が示しているように、現在のところは税関や郵便などの「リアル」における水際阻止が、インターネットを利用した違法薬物取引に対する最も有効な対抗手段なのだ。

背景に「官僚の働き方」問題

言うまでもなく、今回の事件で霞が関には激震が走った。副次的にクローズアップされているのが、官僚の働き方である。

西田容疑者は、覚せい剤に手を出した理由として「仕事のストレスから」と供述した。

キャリア官僚は、非常に労働時間が長いことで知られている。世耕弘成経済産業大臣は5月10日の閣議後記者会見で、西田容疑者の業務への適格性を問われ「一般論としては、経産省として働き方改革に努めているし、メンタルヘルスも含めて職員の健康管理に努めている」と答えた。

しかし終電がなくなっても、官庁街には官僚たちを埼玉や千葉など遠方の自宅に送り届けるタクシーが列をなす。安倍政権が「働き方改革」の旗を振る中、中央官庁が真っ向からそれに逆行している現状は皮肉としか言いようがない。

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