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僧侶でニューハーフでAV女優。かとうれいが異端の道を進む理由

人を救いたい。そう願うからこそ
安宿 緑 プロフィール

「ニューハーフだからこそ登れ」という師匠

AV女優を目指す一心で、女体化することにひたすらこだわったが、それもある日迷いにぶつかった。5歳の頃から登っている、修験道の山は女人禁制。かとうは当初、男の姿で登っていたが、男と女を都合よく使い分けているのではないかと葛藤するようになった。

 

だが、そんな彼を解放したのは、亡くなった師匠の言葉だった。

師匠には、『ニューハーフだからこそ登れ』といわれました。ありのままの姿で、女人結界を通れと。男性の前では男性に、女性の前では女性、子供の前では子供の姿で現れる観音菩薩のように、相手の姿に歩み寄り、寄り添う人間になれという師匠なりのメッセージだったのかもしれません。

師匠は最期まで『神さんがそうしてくれはったんやから、信じて生きなさい。行者は神さんと現世をつなぐ、ただの使用人や。お前はそれでええんや』と言ってくれました」

ニューハーフの姿で山に登った時のかとう

山を登る修験者には、定年退職したばかりであるなど日の浅い人がほとんど。5歳から山に入っているかとうのほうが、修験者としての位が上だ。「師匠はそういうのも計算して、言ったのかも」という。

「師匠は、私には指導ではなく問いかけしかしませんでした。真実を追い求めて修行するのが沙門(仏教徒を指す言葉)。そう考えると、問いかけは究極の指導でしょう。

私を外道だと批判する人もたくさんいるのは知っています。しかし神仏は、意味もなく私のような半端者を作るでしょうか。師匠の問いかけがなければ、そこに考え至ることはなかったでしょう」

「無相」とは、仏教用語で性別や姿、形などすべての差別的概念がない、究極の状態を表す。「破戒僧」の名も甘んじて受けながら、人を救いたいと願う異端の僧侶、かとうれい。その生き方は、「無相」を目指す道程でもあるかのようだ。