後悔しない就活をするために、本当に必要な「コミュ力」の正体

面接の前に考え抜いておきたいこと
受験と違い、どこで「合格日」が来るのがわからないのが就職活動。「お祈りメール」が続く中、何が正解かわからないまま、手探りで活動を続けている学生の方も多いのでは?法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔さんは、後悔のない就活をするのに必要なのは「コミュニケーション力」だと言います。でも、わかるようでわからないのが「コミュ力」。その正体はいったい何なのでしょうか?

就活で苦労する学生、しない学生の差とは?

エントリーシートに何を書けばいいの? 面接では頭が真っ白になり、思うように話せない。グループディスカッションは、本当に苦手。

「何が正解かわからない」なかで、「また、上手くいかなかった」と手応えの無さを持ち帰る。自宅に帰ると「ただいま」を言う前に、「どうだった?」と親が駆け寄ってくる。「ダメだったかも」と返事をするものなら、その日の夕食の会話は弾まない。

頭の中で繰り返される人事担当者からの質問の正解を求めてみたところで、堂々巡りだ。Youtubeでも見て、気を紛らわす。

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大学受験と違って、新卒選考では「合格日」がわからない。いつ、どのタイミングで次の選考の連絡がくるのかわからない。結果連絡が入る携帯電話をトイレや枕元にも持ち込む。文字通り、肌身離さずの日々を送る。

希望は持ち続ける。「上手くはいかなかったけど、大きな失敗はない」選考は通過しているはずだ。それでも連絡がこない。その間に他社の選考が進む。

忘れた頃に「お祈りメール」が届く。選考に漏れたのだ。

「一体、何がいけなかったのだろう?」そう自問しても、答えは出ない。また手探りで就活を続けるしかないーー。

以上の描写を、少なからず共感を持って読んでくれた学生が多くいると思う。 

私は大学でキャリアデザインを教える立場として、この11年間、毎年、就職活動を近くで見てきた。大学に入学した学生が、どのような経験を積んで就職活動を迎えることになるのか。就職活動で苦労する学生とそれほど苦労しない学生との違いは何かを分析してきた。

その結果、見えてきたことが一つある。就職活動で求められているのは、「社会で求められているコミュニケーションをとれるかどうか」、その点が選考に大きな影響を及ぼしているということだ。以下、詳しく解説しよう。

 

「エントリーシートは誰が読むのか」を考える

「これまでの人生で悔しかったこと、失敗したことについて400字でまとめなさい」

これは業界や職種を問わず、エントリーシートに頻出する問いだ。この問いに対して、就活生は二つにわかれる。

一つは、「自分の経験の中から一番悔しかったことをそのまま書き出す」就活生。
もう一つは、「自分の経験の中から何が悔しかったのかを選び、どう書くのかを考える」就活生。

もちろん、エントリーシートの通過確率が高いのは後者の就活生だ。それはなぜか。

前者と後者で決定的に違うのが、エントリーシートを読む人の立場を思い描いているか、どうかだ。

前者の学生は、自分の経験しか見ていない。大半の学生が、大学受験エピソードを書き連ねる。それもほとんど同じ内容だ。均質な国の受験体験は、これほどまでに同質のものになるのかと、驚くほどだ。

後者の就活生は、エントリーシートを読む人事が、どう感じるのか。その上で、何を伝えたいのかを考えてエピソード選択を行う。もちろん、経験したことのないことを書いたり、大袈裟に書く必要はないのだが、「人事の視点」を意識しているかどうかで、エントリーシートの出来栄えは全く違うのだ。

もし、時間が許すなら、先輩が書いたエントリーシートを見せてもらったり、友人とエントリーシートを見せ合うのもいいだろう。そうすることで、自分の経験のみに執着して書いたエントリーシートを、相対的に読むことが可能になる。

社会で求められているのは、「自分の経験をそのまま」語ることではない。誰が何を求めているのかを考えて、「自分の経験をどう伝えるのか」を考え抜くことなのだ。

このコミュニケーション力が弱いと就活で苦労する。エントリーシートと面接やグループディスカッションとの違いはどこにあるのか。この違いは「考える時間の長さ」だ。

エントリーシートは、何をどう書くのか。考える時間が許される。提出締め切りまで考え、いろんな人のアドバイスを受けることもできる。それに対して、面接やグループディスカッションではその時間がない。