借金三千万円で自己破産する者も…若者狙う「悪徳不動産業者」その手口

絶対手を出してはいけません
藤田 知也

破産者続出の可能性

客は年収300万円台以下の若者が多く、200万円前後の借金を抱えるなどお金に困っているケースも少なくなかった。ホスト風の”イケメン”ブローカーからは借金のある女性の看護師や幼稚園教諭を紹介された。「腕を組んで連れてくることもあった」(元社員)というから、興味深い。

このグループは、紹介された客を仲介業者に引き合わせ、フラット35の取次金融機関で仮審査を受けさせる。この時点で「NG」となる客も少なくない。仮審査を通れば、認められた融資額に合わせ、販売会社の売り物件をあてがう。千葉、埼玉、神奈川にある築20年超のファミリータイプで、2000万円前後のものが多かった。

物件価格を水増しする不正もあった。販売会社向けにはもとの売値の売買契約書をつくるが、金融機関側には数百万円を上乗せした価格の売買契約書を提出。信販会社などのローンも組み合わせ、物件価格を大きく上回る融資を引き出した。

 

借り入れを膨らませることで、売値と諸経費を引いても数百万円が浮く。このお金はブローカーへの紹介料や客の肩代わりにあてられるほか、200万円程度は「家賃保証」の原資として残されていた。

家賃保証は、千葉県浦安市に所在するサブリース業者が引き受けた。フラット35で購入した物件はすぐ貸しに出されるが、融資が多額なだけに、家賃はローンの返済額を下回り、不足分をサブリース業者が補塡する仕組みだった。

1件のサブリース契約につき200万円程度を預けていたというが、それだけで20年間もの家賃の補塡ができるはずもない。サブリース業者は昨夏ごろから賃料を払わなくなり、預け金などを抱えこんだまま連絡がつかなくなった。一部の客には仲介業者らが家賃の補塡などを続けているようだが、先行きはかなり厳しい。

そこに追い打ちをかけるように、機構による「一括返済」請求が迫る。

不正が発覚するきっかけは、仲介手数料を値切られたことなどに怒った仲介業者の1社が告発し、販売会社の知るところに。販売会社は元社員をクビにし、弁護士らによる調査委員会が調べた結果を昨秋までに住宅金融支援機構にも知らせた。

機構は不正を主導したグループが関与した融資案件について調べ始め、当初から投資目的だったり価格の二重契約があったりしたと認定した利用者には、融資の全額返済を求める方針だ。貯蓄や年収が乏しい利用者が多いことから、冒頭のような破産者が続出する可能性もある。