リキを迎えてようやく慣れてきたころ 写真提供/折原みと

漫画家が20年越しの「犬を飼う夢」を叶えた日に大号泣した理由

ひとりで生き物を飼う責任

漫画家で小説家の折原みとさんは、現在湘南の家でこりきというゴールデンリトリバーと一緒に住んでいる。実は湘南に越したのは30歳をすぎてから。19歳で上京し、21歳でデビューしてからは、東京・中目黒に住み、ミリオンとなった『時の輝き』をはじめとする少女小説や漫画で働きづめの生活を送っていた(詳しくはこちらの記事参照)。折原さんが湘南に越した大きな理由は、「犬を飼いたいから」だった。

エッセイ『おひとりさま、犬をかう』には仕事とはなにか、豊かさとは何か、そしてペットと暮らすとは何かについてが書かれている。その中から、数回限定公開にて、デジタルメディアとして初めて抜粋掲載。今回は折原さんが20年以上ごしの夢を叶えたその日のことをお伝えしよう。

 

今までの人生を大きく変更

1997年、春。

湘南の海を見下ろす山の上で、家の建築工事が着々と進んでいる頃、私は仕事を1ヵ月休んで自動車学校に通っていた。「人生を変えよう!」と、決意してから1年あまり。家、免許、車と、新生活への準備は順調に整いつつある。

さて、あとはいよいよ肝心の犬を迎えるばかり!
嬉しくて笑いが止まらない。
苦節二十数年、とうとう子供の頃からの夢が叶うのだ。

ん…? 待てよ。

それはそうと、犬って、どうやって手に入れるもの

初めて犬を飼う人のためのハウツー本によると、ペットショップの他に、ブリーダー(繁殖業者)から直接犬を買うという方法もあるらしい。
親犬を見て子犬の成長後の姿や性格を予想することができるし、健康管理がしっかりしているので、遺伝病や感染症のリスクも低いという。

今ならネットですぐに検索できるけど、当時の私はパソコンを持っていなかった。
憧れの犬ライフへの夢と期待はMAXに盛り上がっているけれど、何せ犬を買うのも飼うのも初体験。右も左もわからない。当時は「里親制度」の存在も知らなかった。

ゴールデンレトリバーをつないでくれたご縁

しかし、人生には、不思議な巡り合わせがあるものだ。
相棒にはゴールデンレトリーバーがいいと決めながらも探しあぐねていたちょうどそんな時、私の前に、強力な〝助っ人〟が現れたのである。

「ゴールデンレトリーバーなら、ウチの実家で飼ってますよ。ブリーダーも紹介しましょうか?」

そう言ってくれたのは、その頃仕事の関係で知り合った、某広告代理店の森田さんだった。
森田さんは、偶然にも私と郷里が同じで、私の姉とは小・中学校の同級生だったという、不思議な御縁のある方だ。

しかもブリーダーの紹介のみならず、まだマンション住まいだった私の代わりに実家で子犬を最初引き取るとまで言ってくださった。十数年たった今でも、森田さんと森田パパに、感謝、感謝の思いである。

ゴールデンリトリバーを飼う夢を実現させてくれた、森田さんファミリー。今でも感謝しかない 写真提供/折原みと

さて、そんなわけで、めでたくゴールデンレトリーバーの子犬を迎える手筈は整った。
名前は、もうとっくに決まっている。
命名──「折原リキ丸」
何て凜凜しくて男らしい名前なんでしょう!って、女の子ですけどネ。

リキが家にやって来る日が、日一日と近付いてくる。
楽しみすぎて、夢にまで見ちゃう勢いだ。

そして、1997年、8月末日。

逗子移住の3日前、私は子犬を引き取るために、期待に胸を膨らませて森田さんの実家へと向かったのだった。

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