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ドイツ政府に「CO2大幅削減」を押し付けられた自動車業界の悲劇

自動車連盟会長も当惑気味

EUのCO2削減目標

3月27日、EUは、2030年に、EU圏内で販売される新車の乗用車のCO2排出量を、2021年比で37.5%削減するという意欲的な新法案を可決した。

ドイツは2030年どころか、2020年のCO2削減目標も達成できないというのに、いったいどうする気か?

しかし、そんなことはどこ吹く風、ドイツ政府はこの難題を、そっくりそのまま自動車メーカーに押し付けてしまった。

当然、自動車業界は、目標値が非現実的であるとして反発している。37.5%削減を達成するには、いくらガソリン車の燃費を良くしてもダメで、新車の4割を電気自動車にしなければならないそうだ。

電気自動車は、補助金がついてもまだ高い。走行距離もまだ短い。充電ステーションの整備もまだ遅れている。そのうえ、ドイツの電気代はEU一高いときては、いったい誰が買うのかという話だ。

ただ、自動車産業がそれを言うと、「反イノベーションである」とか、「環境を犠牲にすることを何とも思わない」など、モラルの欠如した守銭奴呼ばわりされる危険がある。だからVDA(ドイツ自動車連盟)の会長は、「この目標をどうやって達成するのか、あるいは、本当に達成できるのか、まるでわからない」と当惑気味だ。

しかし、それよりも何よりも、ドイツには他の問題がある。仮に電気自動車を増やしたとして、それを何の電気で充電するかということだ。

電気自動車の充電に火力発電所の電気を使えば、CO2は自動車からは出ないが、発電所から出る。つまりCO2は減らない。なのに、その根本的な問題を、誰も語らない。

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フランスやスウェーデン、とりわけノルウェーは電気自動車の割合が多い。

フランスとスウェーデンはどちらも原発大国だ。フランスは総電力の7割以上を原発で賄っており、家庭用の電気代はドイツのほぼ半額。また、人口が1000万人弱のスウェーデンでも、9基の原発が稼働している。スウェーデンには高いCO2税もあるので、当然、電気自動車は伸びる。

 

フランスは将来、再エネを増やし、原発を減らしていく予定だが、不安定な再エネの需要を原発でバックアップするという計画を実行できれば、CO2の増加は引き続き抑えられる。これなら、電気自動車を伸ばす意義はある。

また、ノルウェーには有り余る水資源があり、水力電気を輸出しているほどだ。水力は再生可能エネルギーでも太陽光や風力とは違い、必要な時に電力を供給できるという大きな利点がある。その電気で電気自動車を走らせれば、これも辻褄が合う。

だから、ノルウェー政府は莫大な補助金で電気自動車の普及をサポートしており、充電スタンドは料金が無料だ。

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