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ネットの個人データ収集、若者と中高年の「驚くべき意識格差」

日本の未来を左右する「壁」とは?

日本人の「データ活用」意識を解き明かす

近年、日本でもGAFA(米IT企業群)によるパーソナルデータ(以下データ)活用や独占に関する議論が活発になってきている。有識者の間でも規制派と規制反対派の意見で割れており、議論の進みは遅い。

ただいずれにも共通して言えるのが、これらの議論の多くは、法律と企業活動、政府の視点のみで行われ、それに他国の政策を参照しているという点である。

しばしば「経済=企業活動」と誤解されがちであるが、本来、経済学の課題には「社会的厚生を最大にする施策の検討」も含まれる。社会的厚生とは、社会を構成する経済主体―消費者、生産者、政府―の便益を合計したものであり、そこには必ず「消費者」が含まれる。

データ政策の議論において、この「消費者」という視点がいま、驚くほど抜け落ちている。特に、データ活用による「利便性」と「不利益」の双方を消費者がどう評価しているかという点に目を向け、これらをエビデンスをベースに総合的に論じているものはほとんどない。

しかし、プラットフォームを利用する人々が、データ活用の利便性と不利益をどのように捉えているのかという視点を欠いたまま制度を設計した場合、社会に対して想定以上に大きな負のインパクトをもたらす可能性がある。

そこで本稿では、筆者の研究チームが2019年に実施した約6,000件1のアンケート調査分析結果を基に、「データの収集・活用に対する人々の評価」の実態を定量的に明らかにする2

 

データの収集・活用の認知度は?

まず、評価の分析に入る前に、そもそもネットサービスにおけるデータの収集・活用について、どれほどの人が認知しているのか調査を見よう。調査の結果、70%以上の人がデータの収集・活用を認知しており(図1)、世代別にも特筆すべき傾向の違いがないことが分かった。

図1 データ収集・活用についての認知割合
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認知経路としては、「テレビニュース」や「ネットニュース」といったメディアか、「ネット広告の表示のされ方」や「商品のおすすめ表示」といった実体験によるものが多い。

筆者らが20代の若者10名にヒアリング調査した結果でも、全員がネット上でデータ収集・活用が行われていることを認知しており、その大半が実体験から気づいていた。

他方、「ネットサービス・アプリの規約」から認知している人は18%に留まった。多くの人が、「利用規約に同意」をクリックした経験はあっても、その内容をきちんと読んだことはないだろう。利用規約が読まれないことについては、イギリスの企業が行った実験で、アプリの利用規約に同意した22,000人のうち、規約内の文言を基に企業に指摘した人は1人に留まったというものが有名である3

ネットサービス事業者は、啓発活動や読みやすい規約を作成するなど、より認知度向上に努める必要があるといえる。