2019.05.10
# ライフ

日本人の「魚離れ」が想像以上に進んでいる「これだけの理由」

魚嫌いが増えたわけではないのに…
阿古 真理 プロフィール

日本人は魚を好まなくなったのか?

魚離れのもう一つの大きな要因は、働く女性が増えたことである。

フルタイムで仕事をし、毎日買い物できなくなると、肉より鮮度が重視される魚は買いづらくなる。

しかし、日本人が魚を好まなくなったのかというと、それはどうも違うようだ。

水産庁が発表した「平成29年度水産白書」は、 2007(平成19)年から10年間の→1989(平成元)年からの10年間の総務省家計調査をもとに「水産物の価格が上昇傾向にある中で、購入量は減少しているものの、消費者の購買意欲自体が衰退しているわけではないとも考えられます」と分析している。

また、2014年3月4日の朝日新聞記事「魚料理 外食におまかせ」によれば、ぐるなびの調査で、外食で魚を食べる頻度が増えたという人が多いことが判明している。

実際、旅行社が宣伝する地方旅行の目玉は刺身、ということが多いし、人をもてなすときなど特別なときは寿司を食べに行く、あるいは出前に取る人も多いだろう。同記事によれば、新鮮な魚介類を目玉にする飲食店も増えている。

鮮度が落ちやすく、ワタの処理や魚焼き器を洗うことが面倒など、魚を家庭で料理するうえでのハードルはいくつもある。

しかし魚料理を作りたがらない人も、食べるのは好きという場合が多いようだ。供給の方法次第で、魚離れは食い止めることができるのではないだろうか。

魚より肉を買う人が多いのは、割高だからでもある。それは、供給側にも問題があるからだ。

 

そもそも漁業者が減っている

まず、漁業者の高齢化と減少が進んでいる。

一般財団法人農村金融研究会の尾中謙治氏が、2013年に実施したアンケートをもとに発表した「高齢漁業者の実態と課題」によると、全国の漁業者の大半を占める男性のうち、65歳以上が占める割合は36.4%にも上る。漁協の組合員数も減少しており、一番の理由は死亡脱退である。

65歳以上の漁協組合員で、後継者が一緒に操業している人の割合はわずか22%で、後継者がいない人の割合は69%もいる。

2000年代になってから、関東ローカルの『食彩の王国』(テレビ朝日)など、生産現場を取材したテレビのドキュメンタリー番組は増えた。

それらの番組が漁業者を盛んに紹介するようになったのは、漁業者が大きな被害を受けた東日本大震災以降である。

イメージが伝われば、生産者も誇りを持てるし、憧れる人も増えるだろう。農業のIターン、Uターンなどによる新規就農者のレポートは多いが、漁業に関してはまだまだ少ない。増えるとすれば、これからなのかもしれない。

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