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離婚した夫が「一緒の墓に入れてくれ」…そして家族の悲劇が始まった

死んでも死にきれない
露木 幸彦 プロフィール

「俺も同じ墓に入れてくれよ」

母は両親から400万円の遺産を受け継いでいたのですが、離婚から遡ること4年前、その遺産をあてて自分名義の墓を購入したそうです。そして、母は「葬儀は家族葬で行い、父ではなく長男(賢哉さん)が取りしきること、そして何より生前に購入しておいた墓に納骨すること」などとしたため、自筆証書遺言の形式で残しておいたそうです。そのことは執行人に指定された賢哉さんも生前に承知していました。

その後2年間の離婚協議を経て、「年金分割の按分割合を50%に定める。母は長男(賢哉さん)と一緒に暮らす。父は長男に生活費として毎月5万円を渡す」などの条件で正式に離婚が成立したのです。しかし、母は父との離婚が実現して思い残すことはなくなったのでしょうか。それからわずか1年2ヵ月でこの世を去ってしまったのです。

〔photo〕iStock

そして賢哉さんは母の遺志に従って葬儀を執り行ったのですが、元夫とはいえ家族葬なのに父の参加を断ることは難しかったよう。そのため、父は納棺から納骨まで立ち会ったのですが、そこで父は賢哉さんも耳を疑うような一言を発したのです。

「おお、それなら俺も同じ墓に入れてくれよ」――。

 

父は三男坊なので、長兄、次兄を押しやって実家のお墓を引き継ぐことは難しい立場。しかも、父は気性の激しさが災いして長兄、次兄はもちろん、親戚中から距離を置かれており、今さら「遺骨の行き先がなくて困っているので実家で引き取ってくれませんか?」と頼み込むことも厳しいところでした。

「母さんの気持ちも考えて欲しい。母さんは一緒のお墓に入るつもりはないから。母さんのお墓は僕たちが守っていくから。そもそもこうなったのはあなたのせいなんだからな」

賢哉さんはそんなふうに父を叱責したものの、実家を訪ねるたびに77歳の父は少しずつ体は小さくなり、声も小さくなり、動きも遅くなり、賢哉さんの知っている父親の姿とはかけ離れていく一方でした。それから1年。父もこの世を去ったのですが、賢哉さんはどのような決断をしたのでしょうか?