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離婚した夫が「一緒の墓に入れてくれ」…そして家族の悲劇が始まった

死んでも死にきれない

離婚を決めた理由

自分がこの世を去った後、残された遺族に負担をかけたくない、相続で揉めて欲しくない、葬儀を円滑に進めて欲しい。余命が差し迫れば誰しも心配事は絶えません。だからこそ「遺言」という形で生前の気持ちを残そうとするのですが、最後まで遺言の行く末を見届けたくても、本人はすでに亡くなっています。そのため、遺言の運用は執行人(相続を取りしきる人)に託すしかありません。

ところで最近、生前の人間関係が災いして、故人の遺志を尊重しない遺族が増えている印象があります。遺言のなかで特に遺産分割は誰かが得をすれば、その分、誰かが損をするというゼロサムゲームです。遺言の通りに遺産分割を行うのは執行人(相続を取り仕切る人)の責任ですが、もし、相続人の一部が反対したら、どうなるのでしょうか?

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たとえば、執行人が反対者より立場が悪かったり、気が弱かったり、声が小さかったりした場合、反対者に押し切られ、遺言の内容が捻じ曲げられ、故人が望まざる結果に至ることが少なくありません。特に、離婚した夫婦や男女トラブルを抱えた家族では思いもよらぬ結末に至ることもあるのです。今回はそんな実例を紹介しましょう。

まずは離婚した父母とその息子をめぐるトラブルです。

 

野木賢哉さん(現在42歳。仮名)の母(離婚時72歳)が、父(離婚時74歳)と離婚したのは結婚45年目。もともと父は自分の思い通りにならないと些細なことでもキレることが多かったのですが、「母は父に何を言われようと『はい、はい』と言い、なるべく腫れものに触らないようにしてきました」と賢哉さんは振り返ります。そんな母がなぜ離婚を決意したのか。このまま父と結婚していれば、毎月19万円の厚生年金、1600万円の退職金、そしてローン完済の持ち家があるので老後の生活も安泰だったはずなのに……。

「母は父と同じ墓に入りたくないという一心でした」

賢哉さんは回顧します。