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便利になった羽田空港を取り巻く「課題とリスク」

未来の空旅はどう変わるか・その7
戸崎 肇 プロフィール

空港と騒音の問題は常に存在するものだが、昨今の航空技術の発達で航空機の騒音はかなり抑えられてきている。問題となるのは特に深夜早朝帯だが、この時間帯は、羽田空港の場合、そもそも航空会社にとって便を設定するのが難しい。

確かに羽田空港は24時間運用が可能な空港であるが、空港へのアクセスがそれに伴っていない。つまり、真夜中に羽田空港に到着したり、あるいは深夜便を利用して出発したいと思っても、モノレールなどの公共輸送機関はほぼ運行していないので、空港周辺のホテルに宿泊するか、あるいはタクシーを利用するしかない(自家用車を利用することも勿論あるだろうが)。

 

ただ首都圏のホテルは割高で、予約を取ること自体が難しい場合が多い。タクシーも長距離になれば利用者の負担も大きくなる。タクシー業界も定額運賃制を導入し、羽田空港と都内を結ぼうと努力しているが、現時点では適用範囲に限界があることも確かだ(あるアメリカ人のビジネスパーソンは、ビジネス上、羽田空港から都内までのタクシー料金は全く問題とならないレベルのコストだと言われたことがある)。

また、飛行機からの落下物の問題については、パリのシャルル・ドゴール空港などを運営するパリ空港公団に話を聴いたことがある。

その際、彼らはそもそも落下物が都心部における空港政策上問題になること自体理解できないとのことだった。確かに、イギリスやフランスでは、首都圏に複数の空港が隣接してあり、上空を頻繁に飛行機が飛び交っている。こうした感覚の差は興味深いものである。

首都圏上空ルートは重要だが理解が得られるか(photo by iStock)

いずれにしても、首都圏上空を通過するルートが設定されなければ、急増する首都圏の航空需要に対応することは全く不可能である。それができないということであれば、他の大都市空港で補完していくしかない。

成田空港がその最有力候補であるが、それほど供給に余裕があるわけではない。そして、同じ首都圏で空域が羽田空港と重なる部分もあり、飛行ルートの調整も必要となってくる。

その他、千歳、大阪、福岡、沖縄などの大都市空港もあるものの、いずれも特有の課題を抱えている。この点については次回に解説したい。

忘れてはいけない災害リスク

羽田空港について、もう1つ気がかりな点がある。海に面した空港であることだ。

2011年の東日本大震災において、海岸に近いところに位置していた仙台空港は、津波によって土砂が流入し、閉鎖せざるを得ない状況に追いやられた。幸いにして、災害時には空港内に駐機している飛行機がなかったため、その分被害規模は抑えられたが、海に隣接している空港の災害対策、安全性の見直しが必要であるとの認識が高まった。

日本の大都市空港は海に隣接している、あるいは海上空港であるところが多い。関西国際空港、中部国際空港、沖縄の那覇空港がそうであるし、地方空港では北九州空港や長崎空港がある。

東日本大震災の際に明らかになったように、自然災害の規模は人智の及ばない規模のものとなりうる。津波の高さは想定を超えて襲い掛かって来る。

こうしたリスクに対して、どのように対処すべきか。最近では、関西国際空港が台風の来襲によって、この問題の深刻さを体感させられることになった。空港の敷地内が高波による浸水被害を受け、さらに船舶が連絡橋を破損することによって人工島が孤立するという事態に至ったのだ。

同様の問題は、羽田空港などにも起こりかねない。特に来年の東京オリンピックは台風シーズンに行われる。リスク管理上の視野はどこまでも広げていかなければならない。

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