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便利になった羽田空港を取り巻く「課題とリスク」

未来の空旅はどう変わるか・その7
戸崎 肇 プロフィール

廃港によって地元の経済に大きなマイナスの効果が及ぶことを恐れた周辺地域は、積極的に空港の存続に向けた運動を展開したのだ。その結果、伊丹空港の存続が決定し、関西国際空港の側では需要が分散されることに強い危機感を抱くことになった。

この場合にも、両空港間での調整が国を中心に行われることになり、伊丹空港は国内線専用空港として、また夜間の飛行制限が課される中での存続となっている。

 

あまりに不便だった日本の空港事情

羽田空港の再国際化は日本全体にとっても大きな刺激をもたらすことになった。地方の人々は、それまで海外に出かけようとするならば、近くの地方空港を利用するか、成田、あるいは関西国際空港などの大都市空港を経由するしかなかった。

前者の場合には、地方空港に乗り入れている国際線は極めて限定的で、数が少ないのが通例である。したがって、この選択肢を利用できる可能性はかなり低い場合が多かった。

しかも、乗り入れ会社の数が少ない、あるいは独占的であれば、そのぶん、運賃も高くなる。結局は割高になるので、時間がかかるとしても、大都市の空港を利用するほうがよいというケースが一般的であった。

また、後者の場合、特に成田空港と地方空港との間には路線が設定されていないのがほとんどであり、新幹線などを使って東京まで移動し、そこから成田空港までさらに移動しなければならない。大きな荷物を抱えている場合などは相当な体力的負担を強いられることになってしまう。

空港までの移動は大変(photo by iStock)

羽田空港の混雑度は増すばかり

しかし、羽田空港が再国際化されたことによって事態は大幅に改善される。羽田空港まで国内線で移動し、そこから国際線に乗り継ぐということが容易にできるようになった。しかも、羽田空港には多くの航空会社が乗り入れるようになり、価格競争も激しくなっている。

つまり、地方に住む人々にとっては、海外により便利に、しかもより安く行くことができるようになったのである。一方、地方空港にとっては、それだけ大都市空港に対する依存度が高まることになり、自律的な姿勢を保つことが難しくなることにもつながる。この点については後に詳しく論じていくことにする。

こうして、羽田空港の混雑度はますます増し、航空会社が飛行機を飛ばす権利である発着枠をめぐる航空会社間の争いは熾烈となる。配分権限は国にあるため、行政サイドも難しい選択を迫られる。

基本的な方針としては、LCCについては、首都圏への乗り入れは成田空港を使用するようにさせる。また、成田空港から羽田空港に拠点を移そうとする外資系航空会社などの動きに対しては、羽田空港に乗り入れる条件として従来の成田空港の路線も維持するといった指導を行ってきた。

しかし、こうした暗黙の了解ともいうべき慣行的取扱いも形骸化してきている。

羽田空港へのアクセス問題

羽田空港の発着枠をさらに増やすために検討されているのが、首都圏上空を通過するルートの運航を解禁することだ。

首都圏住民からは、騒音や飛行機からの落下物が及ぼす危険性に対する懸念から反対する声も大きく、国は各地で何度も説明会を開いて、住民への説明を行い、理解を求めてきた。

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