# 中国経済

中国経済への「過度な楽観」を禁物すべき理由

希望的観測が飛び交っているが…

現在、金融市場で中国経済の先行きに関して見方が分かれている。ただ、先行きを楽観視する市場参加者は多数派を占めているように見える。というよりも、希望的観測をしたいという思いが強いのだろう。

その背景として、「中国政府が景気浮揚のために政策を総動員するはずだ」という強い期待がある。

中国経済の先行きに関して、単純な楽観は必ずしも適切ではないだろう。中国政府が重視するのは、景気浮揚よりも構造改革と債務問題の解決だ。中国は、1990年代初頭のバブル崩壊後の日本と同じ轍を踏みたくはない。わが国は公共事業で景気を支えようとし、構造改革は先送りにしてしまった。その結果、経済は長期停滞に陥った。中国はその教訓をもとに政策を運営している。

 

中国政府が重視する構造改革

年初から、4月中旬まで、中国の株価は政策への期待に支えられて上昇してきた。5月に入ってからも、中国株は政策への期待に左右されている。ただ、政策への期待は持てなくなっていると考えるべきだ。4月19日、中国政府は中央政治局会議を開催した。この場で中国は、金融などの安定を重視する姿勢を撤回し、構造改革を優先する考えを明示した。

構造改革や、債務問題の解消は、一時的な痛みを伴う。痛みを軽減するためには、少しでも景気が落ち着いているに越したことはない。景気を支えるために中国は減税や社会保障負担の軽減に加え、金融政策を緩和的に運営してきた。それにより、銀行の融資能力を高め、企業の資金繰りを支援することが目指された。

同時に、金融の緩和は、経済の先行きリスクも高めている。それが、不動産投資の増加だ。中国の主要70都市では、新築住宅価格が上昇する都市が増えている。景気が持ち直しつつある中で金融政策が緩和的に運営され続けると、不動産市場はさらに過熱するだろう。それは、景気のハードランディング懸念を高める。中国政府はその展開だけは避けたい。

中国が重視するのは、景気を落ち着かせ、構造改革と債務問題の解消に取り組むことだ。このために中国政府は緩和的な金融政策を調整し、構造改革を進める姿勢を改めて表明した。このマグニチュードは想定以上に大きく、4月22日から26日までの一週間で、中国上海の証券市場では、株価が5.6%超も下落した。