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消費増税は、真面目なサラリーマンにこそ有利に働く

元マルサが「脱税」の観点から解説

消費税率10%の引き上げまで5ヵ月を切った。しかし、専門家である税理士の中にもいまだに「先送りされる」と考えている者が少なくない。

スーパーマーケットやコンビニでは軽減税率に対応したレジの導入が進み、中小事業者もキャッシュレスへの対応を進めるなど、10月1日に向けて準備を進めている最中、増税延期をにおわせる与党幹部の発言もあり、夏の参議院議員選挙を控えて様々な憶測を呼んでいる。

消費増税とはどのようなことなのか? またそれと同時に導入される「日本型インボイス」とは何なのか? 税理士で、『国税局査察部24時』(講談社現代新書)の著者・上田二郎氏が解説する。

消費税率引き上げの経緯

これまで2度引き上げが延期された消費税の経緯を、まずは簡単に説明しておきたい。

 

平成24年に国会で可決された税制抜本改革法で、26年4月1日に5%から8%へ、27年10月1日に8%から10%へ、段階的に消費税率を引き上げることが定められた。

26年4月には予定どおり8%に引き上げられたのだが、27年10月の10%への引き上げは1年6ヵ月延長された後、再度2年6ヵ月延長され、今年10月1日に10%に引き上げられる予定だ。

安倍首相は「平成32年度の財政再建健全化目標はしっかりと堅持する。ぎりぎりのタイミングである31年10月には消費税を10%に引き上げることとし、その際、軽減税率を導入する」と28年の通常国会終了後に表明している。

税理士の現場では実務が始まっている

ここで、私の考えを明らかにしておきたい。

日本の財政状況を考えると、消費増税はやむを得ないのだが、軽減税率の導入はスーパーマーケットやコンビニなどの小売業界に大きな事務負担がかかるため、反対だ。

すでに報じられているように、外食とテイクアウトの違いやイートイン・コーナー、ケータリングで軽減税率が適用できるのかどうかなど、税理士でも回答に窮するような問題で現場が混乱している。

ただし、私のクライアントにはすでに、決められた定めに従って軽減税率の準備をするよう、説明し終えたところである。税理士たちは、10月1日に向けて、中小企業者に対する複数税率に対応したレジ導入の補助金や、キャッシュレス対応などについての相談に応じている。

消費税率を引き上げるための経過措置もすでに始まっていて、例えば請負工事は平成31年3月31日までに締結した請負契約に基づく工事等で、10月1日以降に完成して引き渡すものは8%の税率になる。

それと同様に資産の貸付や結婚式、予約販売の書籍など、主に長期契約を結ぶ際の消費税率の判定は平成31年3月31日であり、現場では消費税率のアップに対する実務がすでに始まっている。