盗掘・密売の一方で…日本人研究者に訊く「中国恐竜、ここがスゴい!」

「恐竜大陸をゆく」特別編!
安田 峰俊 プロフィール
ルーフェンゴサウルス北京の中国古動物館で展示されているルーフェンゴサウルスの骨格。雲南省で出土

――中国南部の場合は?

雲南省には中国で最も古いジュラ紀前期の地層が分布しています。最古のコエルロサウルス類とされるエシャノサウルスが発見されたのも雲南省です。

四川省はマメンチサウルスなどの巨大な竜脚類が代表的です。

河南省では近年大量の卵化石が発見されています。山東省はチンタオサウルスなどの発見された場所で、近年では白亜紀後期の大型のティラノサウルス類、ズケンティラヌスの仲間が発見されました。

どうして中国でばかり発掘されるのか

――日本では北海道の「むかわ竜」のように、一頭丸ごとの全身化石が出土すると大騒ぎですが、中国ではポンポンと出ます。国土が広い国は量的な優位性がありますね。

本当ですね。もうひとつ、中国の恐竜化石のポイントは、「ジュラ紀の前期(約2億年前)から白亜紀末期(6600万年前)という長い時間軸を通して、ある程度連続した化石記録が存在する」ということです。

恐竜の進化を考えるには、たくさんの時代、たくさんの場所の記録を総合して見る必要があります。それらをまとめて見ることができる中国の化石資料は、中生代ユーラシアの脊椎動物の進化を考える上で非常に重要なんです。

――遼寧省の熱河層群では、羽毛恐竜や鳥類の化石が数多く見つかっています。多くは羽毛の痕跡が克明に残るほど保存状態が良好な化石です。なぜなんでしょうか?

羽毛は骨格や歯と違って柔らかく、大変保存されにくい組織です。このような軟組織が保存されるには、それらが腐ってしまう前に素早く土の中に埋まる必要があります。

熱河層群の場合、当時遼寧省の付近に存在していた淡水の湖に、周辺の火山が噴火することによって火山灰が降り積もり、地層が形成されたことが知られています。

孔子鳥遼寧省で出土した白亜紀前期の原始的な鳥類・孔子鳥の化石。ここまできっちりと化石が残るのだ

――つまり、生物の多い快適な沼地に、ときおり噴火する火山灰がドカッと降ったことによって、生物の死体がすぐに密封されたと。

そうです。火山の噴火の影響を受けて死んだ生き物が湖に沈み、それからすぐに火山灰などの堆積物が積もって化石となっているわけです。

そのため、熱河層群からは羽毛の痕跡を持つ恐竜や鳥類の化石だけではなく、羽の模様まで残った昆虫化石、内臓や皮膚がはっきりと見える両生類化石なども多数見つかっています。

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