外でメイクして帰った時は、
母から、人生で一番怒られました

思春期の頃は、誰もが不安を抱えている。自分のことに精一杯で、なかなか人を思いやることができない。松岡さんも、おはガールとしてテレビで元気な笑顔を振りまきながら、その実、家では“重度の反抗期”だったらしい。

「家族と一緒にご飯を食べたくなくて、自分の分をお盆に乗せて、部屋に籠って、勉強机で食べたり、自分の洗濯物を、父の洗濯物と一緒に洗わないでと言ったり。『洗い残しがあったら嫌だ』という理由で、自分の使った食器だけ自分で洗ったりもしました(笑)。とにかく、家族のやることなすこと気に入らなかったのです。

学校やおはスタの現場で“いい子”“面白い子”として過ごしていた反動なのか、家では、“世界の中心が私”という感じでした。最低の娘だったと思います。母も、『あの頃の茉優は大変だった』と言います(笑)。ただ、母とはよく喧嘩もしましたけど、『勉強しなさい』とか、『友達と仲良くしなさい』とか、そういうことは言われたことはなかったです。学校に早く行きなさいとか成績がどうとかで怒られたことも一切ありませんでした。

そんな、怒らない母に、中学時代唯一怒られたのが、家を出てからメイクをして帰ったこと。少しキツめのメイクをしてみたかった時期で、家でメイクをして、『濃いわよ』とか『落としなさい』と言われるのが嫌だったので、家ではすっぴんで出て、外でメイクして帰ったのです。人生で一番怒られましたね。びっくりしました。

でも、今になると、母が怒った理由が、なんとなくわかるんです。母は、私の全てを受け止めていてくれたのに、こそこそされたのが悲しかったのかな、って。その時も、ガミガミ怒られたというより、母がものすごく悲しい顔をしていたことが、鮮明に記憶に残っています」

撮影/村田克己

松岡さんとその母の関係性、映画の中のアカネと、母親であるミドリの関係性は、不思議とどこか似ている。『バースデー・ワンダーランド』冒頭で、友人関係に悩んだアカネは、仮病を使って、学校をずる休みする。ミドリは、娘の嘘に気付きながら、学校を休ませ、朝食を用意し、骨董品屋を営む叔母・チィの元に、アカネをお使いに出す。そこから、アカネとチィの、ワンダーランドへの冒険の旅が始まるのだ。実際、松岡さんも、台本を読んで、「ミドリさんは、母に似ているな」と思ったのだそう。