「失われた30年」を体感した経済ライターが、令和に切に願うこと

「凋落の時代」は覆せるのか…
嶺 竜一 プロフィール

平成に、日本で巨大企業は生まれなかった

いつの時代も、経済成長は新しい企業によってなされるのである。では、日本はどうか。日本の時価総額ランキングTOP20を示そう。

出典:日本経済新聞ウェブサイト

ご覧の通り、ほぼ全てがオールドビジネス、伝統的な大企業である。この中には残念ながら、平成に誕生した企業は、ただの1社もない。オールド企業ばかりだ。

平成の時代に成長したと言えるソフトバンググループも、孫正義さんが設立したのは1981年、昭和56年のことだ。1949年より洋服屋を営んでいた柳井正さんがロードサイドにユニクロ1号店を立ち上げたのは1984年、昭和59年である。

 

実は日本は100年以上続く老舗企業が2万5000社以上あり、世界で最も多い。それも、世界の100年企業の35%を日本がしめるのだそうだ。日本の上場企業3800社のうち、およそ700社が100年企業。それは誇らしいことだと思うが、江戸、明治、大正、昭和に生まれた企業が、今の日本経済を支えているというのも事実だ。

しかも平成の30年間、日本は新しい世界企業が、ただの一つも、生まれなかった。世界には数多くの凄まじい巨大企業が生まれ育ったというのに。先ほどの日本の時価総額ランキングをTOP100位までみても、平成生まれの日本企業は、75位の楽天、ただ1社しかなかった。

また、平成の30年間で、日本の上場企業は233社が倒産したが、この倒産ペースは昭和(27年以降)の3倍だという。日本企業は大倒産時代だと言われているが、しかし優良企業の象徴、日本企業の上澄みであるはずの上場企業が、昭和の3倍のペースで潰れているとは……。

団塊ジュニア世代の筆者が15歳から44歳までという人生の最も重要っぽい時期を過ごした平成は、日本経済にとって「失われた30年」そのものであった。

あの頃に見ていた従姉妹や姉の浮かれっぷり、課長が酔うたび「あの頃はさ」と始まる銀座で遊んだ話が信じられないほど、経済と社会はいつも閉塞感があり、好景気を感じることなど全くなかった。

街に出ても、昭和ほど楽しいことなどないんだろう。○○族がいなくなり、ディスコがなくなり、路上バンドがいなくなり、路上でたむろしたりナンパする若者が減った。ハロウィンや大晦日だけ狂ったように弾けるのに、普段は街を歩く人が少なくなった気がする(代わりに外国人は増えたが)。良し悪しは別として、若者はみなすごく真面目だ。日本から浮かれた人たちがいなくなってしまった。

「令和に期待したい」と締めたいのはヤマヤマだが、今のままでは、令和に期待できる気がしない。正直、なるようにしかならない気がする。

私には、平成28年に生まれ、3歳で令和元年を迎える息子がいる。どうすれば日本は再び元気を取り戻すのか。この30年の結果は、日本の昭和生まれが数々の間違いをおかしてきた積み重ねなんだろうと思う。情けない気持ちだ。

これからの令和を動かすのは、平成生まれの人たちだろう。もう、自らの欲のために政治をしたり、自らの欲のために商売をしたりするのではなく、政治家は人のため社会のために制度を作り変え、企業は従業員と社会のために事業を大きくして行って欲しいと思うのである。