2019年5月1日、元号が「令和」に変わりました。
こういった何か大きな出来事があると、そこに数学的な意味や性質がないか考える習慣があるのですが、この「令和」にもちょっとした数遊び的なものがありました。
令和の年に「018(れいわ)」と2000を足すことで、偶然にも西暦の年になるのです。誰かが狙って作った、というわけでもなく、ただの偶然によって起きた覚えやすい元号→西暦の変換方法なのです。
このあたりの詳しい話は以前書いた記事(「西暦や曜日を「一瞬」で計算する超便利な方法」)にて詳しく紹介しております。
さて、今回の記事はそんな「偶然」に関して。数学の中にも、偶然の出来事が存在します。面白い性質の裏には何か明確な理由があるように想像しがちですが、特にそういった理由もなく、ただ偶然不思議な性質を持っているものもあるのです。
特別な意味を持っているようで深い意味はない、ただの「偶然」としか言えない、まさに「雑学数学」を今回はお届けします。

【雑学11】「ほとんど整数」になる複雑な式
まず紹介する「偶然」は、一見すると複雑な式にもかかわらず、偶然にも答えが「ほとんど整数」になる数式を紹介します。
その式とはこちら。
22×π4
答えはいくつになると思いますか?
πはご存知、円周率。πを4乗し、それを22倍した数が何になるか……実際に計算すると、このような数になります。
2143.000002748…
2143のあと、小数第5位まで0が続きます。100万分の3ほどしか、2143と変わらない数になるのです。ほとんど……整数、と言っていいのではないでしょうか。
(もちろん、ほとんど整数といえども厳密には整数ではありません)
「ほとんど整数」になることに何か数学的な背景を想像してしまいますが、この式には特に何か数学的な背景があるわけでもなく、まさに「偶然」起きている出来事なのです。
「すごい」と感じるか「なんだそれ」と感じるかは人それぞれですが……ちなみにこのような性質を持つ式はほかにも存在します。ネイピア数「e」を使う例ですが、たとえば、
eπ-π
は、計算してみるとこのような数になります。
=19.999099979…
ほとんど20、まさにほとんど整数ですね。この式も「偶然」整数にほぼ近い数になっているのです。
一方、偶然ではなくちゃんとした数学的背景があって「ほとんど整数」になる式もあるので、それも簡単に紹介しておきましょう。たとえば、
sin11=-0.99999020655…
といったもの。sin11の「11」は角度の「11°」ではなく、数として「11」です。
この答えはほとんど-1となっていますが、これにはちゃんとした理由があります。
三角関数で「半角の定理」というのがあり、それを使ってsin11を計算すると、
sin211=(1-cos22)/2
となります。
ここで、22/7が円周率の近似値になるので、それを利用すると、
cos22=cos(7×22/7)≒cos(7π)=-1
なので、
sin211=(1-cos22)/2≒(1+1)/2=1
となり、sin11はほとんど-1に近いことがわかります。