人口減少が自衛隊に及ぼす影響に、日本人は気づいていますか?

これこそ、この国にとっての有事だ
ロバート・D・エルドリッヂ プロフィール

まだ出来ることはいくつもある

それでは、どうすればよいのであろうか。

拙著『人口減少と自衛隊』では、15の提言を行った。

・給料アップ
・定年引き上げ
・採用条件の引き下げ
・予備自衛官数の拡大
・女性自衛官の倍増
・海外の任務削減
・米国による安全保障に一層依存
・集団安全保障機構の構築
・限定的核抑止力の保持
・徴兵制度
・契約会社・外国人軍人の採用
・自衛隊の効率化
・米軍基地との共同使用
・隊員、職員の仕事の効率化
・技術の導入

である。

この中には以前から指摘されてきたものもある。また、それぞれ、問題点や副作用を抱えてもいる。

1つ1つに日本の抱えている構造的な問題が控えているが、すべてを紹介し検討するには紙幅が足りないので、この点については拙著を参照してもらいたい。

 

ここでは、別な枠組みで新たな提言をしてみたい。その内容は、自衛隊の効率化の具体的な案である。

日本最大の防衛組織である陸上自衛隊は、日本列島を5つの方面隊に分け、さらに15の師団・旅団で構成されている。その下に主に連隊単位の一定規模の部隊が常駐する、駐屯地・分屯地が全国に約160カ所ある。各駐屯地には、宿泊施設、訓練施設、装備の整備施設、資材倉庫などがある。

あらゆる有事を想定しての約160ということになっているが、これは多すぎるのではないかというのが、私の考えだ。

例えば米国は、軍隊の兵力は、州兵、予備軍をあわせ日本の約20倍、そして国土の面積が26倍と広く、海外任務も行っているが、それでも160の陸軍施設はない。

陸上自衛隊の駐屯地からは、日本国内のほとんどの地域に、出発から4時間以内に到着可能といわれるように、国土に均等に配備されている。

しかし、内戦の可能性がなく、しかも島国の日本では、防衛の重要度や脅威度は地域によって偏りがあり、均等配置には必然性がない。

この配置は、旧陸軍時代の施設を踏襲した結果であろう。戦後、防衛問題に国全体が冷ややかになった中で、新規の施設を獲得するのが難しく、配置の問題に踏み込めなかったのだろう。

しかし、旧軍の国内の部隊配置は、明治中期以降、徴兵制を前提にして作られたものである。徴兵単位となる各連隊の担当範囲、「連隊区」は、毎年の新兵の数が均等になるように地域割りが行われた。要するにリクルート用の担当範囲なのである。

当然、内戦の可能性もなく徴兵制度も存在しない現在の日本では、この地域割りは安全保障上、無意味である。

近隣との緊張関係にある、南西諸島や北海道、日本海沿岸、さらにテロ対策が必要な主要都市や施設周辺には、常駐部隊について十分な配慮が必要であるが、それ以外は、日本では希少資源である、演習地、飛行場、軍港などの周辺に集約したほうが、施設の運営費、維持費や、間接部門の要員などを大幅に節約できる。

この場合、海上自衛隊、航空自衛隊とも、駐屯用の基地を統合して運用すればさらに効果的である。

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