「2権分立」という観点から考えてみる、日本という国の継続性

伝統でもあり先端でもあるのでは
大原 浩 プロフィール

明治維新の大きな過ち…?

すでに述べたように、明治維新の大きな過ちの1つが、「2権分立」という素晴らしい伝統を「文明開化」の名のもとに、「絶対君主制」にすり替えてしまったことである。

もちろん、2権分立によって実務的権力を握っていた江戸幕府打倒を目指す「新政府軍」にとって、天皇親政は非常に訴えやすい錦の御旗であったのは事実だ。徳川幕府が300年近くも続いたために、「執行役員」であるはずの江戸幕府に「権威」がかなり備わるようになったからだ。

江戸幕府と九州あたりの田舎侍との戦いの構図になってしまったので、新政府軍に権威の上で勝ち目が無かったから、「天皇親政」は避けられなかったのかもしれない。

また、明治維新は、「欧米による日本の植民地化」に対する恐怖によって行われた大同団結の結果、成し遂げられたといっても良い。

実際、その後の日本は「富国強兵」を目指し、日清・日露戦争、そして第1次世界大戦において連戦・連勝した。この一連の戦いに、もし一度でも負けて国力が衰えていたら、中国大陸や東南アジアなど、日本以外のアジア諸国同様「欧米列強による植民地化」という空前絶後の苦しみを味わわなければならなかったかもしれない。

欧米による植民地の人々への蹂躙は、日本人には想像もつかない過酷なものであった。悲しい話だが、例えばフランス人の中には、酒が入ると、旧植民地であったベトナムの人々のことを「モンキー」と、同じアジア人の日本人の前で呼ぶ輩がいる。

英国や米国などの自由主義的な国でも、戦争中は国防のため「挙国一致」の中央集権的な政策がごく普通に行われる。

日本も、明治維新から太平洋戦争にかけて、欧米列強の侵略から逃れるための闘いのために、天皇親政のもとで挙国一致したのも仕方が無かったかもしれない。

戦った相手は清、ロシアなどだが、これらの国々に勝って日本の国力を見せつけ、欧米列強の仲間入りをしなければ、逆に日本が植民地化されかれなかった。日本は、アジアで欧米の植民地にされなかったほぼ唯一の主要国である。

 

民主党政権時代でも

しかし、その挙国一致の中、日本は最後の戦争に負け、新憲法のもとで再び「二権分立」システムを取り戻すことができた。

発展途上国によく見られる軍部の武力を背景にした独裁制や、北朝鮮、中国、ロシアの共産主義など「権力が1か所に集中するシステム」は、強い権力を持つようだが、本当の意味での「権威」を持たない。

だから、より強い武装集団が攻め込んだり、クーデターを起こせばいとも簡単に国を乗っ取ることができる。そして暴力を背景にした「武装集団」同士の「縄張り争い」が延々と続く。

日本の2権分立は、そのような無益な争いを軽減することができるだけでは無く、どのような「執行役員」が就任しても、国家としての継続性は損なわれないという点が極めてすぐれている。例えば、悪夢と呼ばれる民主党政権時代でも、日本の骨組みはびくともしなかった。もちろん、安倍政権から次の政権に変わっても、日本の「継続性」はびくともしない。

日本の2権分立は、他国の模範となるべき素晴らしいシステムなのではないか、と改めて思うのである。