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宮本武蔵の極意は「枕をおさえる」!?

【5分de名著】宮本武蔵『五輪書』訳注:鎌田茂雄③
第一回第二回に引き続き宮本武蔵『五輪書』の本文を「チラ読み」していただきます。今回は「火之巻」から。

「火の巻」より「敵のさせないようにする」こと

〔訳文〕
「枕をおさえる」とは、「頭を上げさせない」ということである。兵法、勝負の道においては、相手に自分をひきまわされ、後手にまわることはよくない。何としても敵を思いのままにひきまわしたいものである。

 

したがって相手もそのように思い、自分もその気があるわけであるが、相手の出方を察知することができなくては、先手をとることはできない。

兵法において、敵が打つのを止め、突くのをおさえ、組み付いてくるところをもぐようにひきはなしなどすることである。
枕をおさえるというのは、自分が兵法の要諦を心得て敵に向いあうとき、敵がどんなことでも思う意図を、事前に見破って、敵が打とうとするならば、「うつ」の「う」という字の最初でくいとめ出鼻をくじき、その後をさせないという意味であり、それが「枕をおさめる」ということである。

たとえば敵がかかろうとすれば、「か」の字でくいとめ、とぼうとすれば「と」の字でくいとめ、きろうとすれば「き」の字の最初でおさえていくことで、皆な同じことである。
敵が自分にわざをしかけてきたとき、之役に立たないことは敵のなすままにまかせ、肝腎のことをおさえて、敵にさせないようにするのが、兵法においてとくに重要である。

これも、敵のすることを、おさえよう、おさえようと思うのは後手である。まず、こちらはどんなことでも兵法の道にまかせて技を行いながら、敵もわざをなそうとする、その出鼻をおさえ、敵のどんな企図も一切役にたたないようにし、敵を自由に引き廻すことこそ、真の兵法の達人であるということができる。

これはただ鍛錬の結果なのである。枕をおさえるということを、よくよく調べなければならぬ。