気持ちを尊重してもらえる喜び

②ヨーロッパ出身の彼を持つ女性から

ヨーロッパ出身の彼とより深い関係になる前に、彼が「自分はこうしたい、こういうことを一緒にしたい」と希望を伝えてくれた。私は、これはできるけど、これはしたくないと自分の気持ちを率直に言い、それを尊重してもらった。 なぜ言えたかというと、最初に「君はどうしたいの? ふたりで楽しむためには、お互いに正直に言おう」と彼が言ってくれたから。ここは触らないで、コンドームは必ずして……、自分自身の血液検査の結果まで提出すると言った彼には感動さえした。

当たり前だけどSEXって二人で喜びを分かち合い、共有すること。そしてお互いを尊重し自分も相手も大切にすること。 けれど日本ではその当たり前を私たちは教えられていない。避妊の方法や病気についてもそう。今まで痛くても嫌でも我慢するものだって思っていた。

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以上を読んで、「性的同意=同意書にサイン」と感じるだろうか?必要なのは、言葉や仕草を含め、ちょっとした一言や確認、そしていつも本心で答えられるための環境づくり。相手への尊重の気持ちさえあれば、とっても自然にできるものなのだ。

勿論、それでもひとに伝えるのは難しいと感じる人もいるだろう。そういう場合は、前回も書いたように、事前にサインを決めておくのもいい。「お互いの気持ちを尊重したい」という土台が一番大切で、その表現の仕方は十人十色なのである。

5歳ではじまる「NO」を伝える教育

上記のように、性的同意とは、双方の「積極的なYES」によって成り立っているが、やはりその前段階には「NO」の存在がある。今回その「NO」についても、「拒絶され続ける辛さはどうなるのか」というコメントも多く頂いた。

前回の記事でも少しご紹介した『International Technical Guidance on Sexuality Education(2018)』という、国連機関の“性教育の世界基準”によれば、5~8歳で以下のようなことを伝える教育が始まる。

「プライベートパーツ」がどこか分かる
全ての人にからだの権利(Body Rights)があると知る
不快な触り方などをされた際どう対応すれば良いかを知る(「NO」「あっちに行って」と言う、信頼できる大人に話す、など
触られて感じた不快感を信頼できる大人にどう伝えれば良いか具体例を考える

これらは、性教育としてはもっとも初めの段階で学ぶべきこととされている。

みなさんは、そういった教育をきちんと受けてきただろうか。少なくとも私はそういったことをきちんと伝えられた記憶はない。幼い頃横行したスカートめくりなどにも、「誰のからだにも尊重される権利があるし、プライベートパーツは大切な場所で勝手に触るような行為はだめ」「止めるよう本気で伝えていい」とは教えられず、ただ「そういうことはだめ!」と先生が叱るのを見ていただけだった気がする。

子どもだけではない、職場での一方的ボディタッチも長年「職場の潤滑油」とさえ呼ばれてきた。そういったことを考えると、私たちはもしかすると、NOを伝えることにも、NOを伝えられることにも、慣れていないともいえる。そういった背景から、「NOといったら嫌われるかな」と本心を言えない人も「NOと言われた、全部否定された」と感じる人も絶えないのかもしれない。

しかし、声を大にして伝えたい。なんらかの行為の誘いへのNOは、必ずしも全人格を否定している訳ではない。その日はたまたまキスまでなら楽しめるけどその先は嫌という気分なのかもしれないし、性的行為は嫌でも一緒に映画を見るならいいな!という気分なのかもしれない。友達や同僚としては好きだけど、恋人になるのは嫌なのかもしれない。個別で会うのは嫌なのかもしれない。本当に人それぞれだ。それを明確にするには、コミュニケーションしかない。

本来であれば5歳の子どもでも理解し、実践できること。今からでも遅くない、今日からでも、自分の、相手のNOを尊重、理解し、自分も相手も生きやすい未来を形づくってみるのはどうだろうか。