いまさらロシアにすり寄る北朝鮮の「露骨外交」の真骨頂

ロシアはキャスティングボードを握るか
大原 浩 プロフィール

中国を挟み撃ち…?

それでは、トランプ氏にとってロシアの関与はどうなのだろうか?

経営者として4回も破産を繰り返し、その都度這い上がってきたトランプ氏にとって、破産寸前の北朝鮮の指導者がロシアに助けを求めることは想定内であろう。もちろん、ロシアの支援がほぼ口先に限られることもお見通しだ。

金正恩氏は、北朝鮮がどうなろうと、自分(と一族)が助かるためなら、何でもするはずだ。例えば、金正恩氏が亡命を希望するとして、トランプ大統領のご機嫌を損ねたくない中国は断るだろう。しかし、ロシアは今回の露朝会談で、何らかの保証を与えたかもしれない。

実行するかどうかは別にして、「いざというときには受け入れてあげるよ」と耳打ちすることは、金正恩氏をコントロールする上で極めて有効な戦略だ。

また、北朝鮮とロシアの結びつきが強まることによって、ロシア・北朝鮮連合が共産主義中国を地政学的に挟み撃ちできることもトランプ大統領にとって都合が良い。

北朝鮮もロシアも、米国の友好国とは言い難いが「敵の敵は味方」である。同じ共産主義国家でも、利害の対立はある。その利害対立を利用して「身内で争わせる」ことができれば、米国の若者の尊い命を犠牲にしなくても良いかもしれない。

 

気になるFBIの動きは

そこで気になる点は金政権が必死の「生き残り戦略」で存続できるかどうかである。

反体制派臨時政府とされる「自由朝鮮」については、当サイトト4月22日の記事
「『同時崩壊』もありえぬ事ではない韓国・北朝鮮の苦しい現状」で述べているが、「FBIの傀儡」である可能性がかなりある。米国政府そのものの傀儡ではないということに注意いただきたい。

FBIが米国版「モリカケ」騒動とも言えるロシア疑惑で、明確な証拠もないのにまるでストーカーのようにトランプ大統領に執拗に付きまとうのは、トランプ氏がFBIにとって目の上のたん瘤だからだと考えるのが自然だ。

FBIは警察庁のような、全国的な警察組織だというイメージがあり、ドラマでもそのように描かれることが多い。確かに、それは間違いではないのだが、FBIには「事実上の秘密警察」という暗い側面がある。

もちろん、制度的に「秘密警察」を目的に設立されたのではないのだが、40年近くも長官を務めたジョン・エドガー・フーバーの時代に、犯罪御捜査活動を名目に「国内諜報機関」としての活動が強化された。

40年間フーバーが長官として居座ることができたのは、「個人情報」を握られた歴代大統領が彼を解任できなかったからだといわれる。

ところが、トランプ氏はそもそも4回も倒産を経験したスキャンダルまみれの人間であり、「個人情報」による脅しが効かない。FBIが毛嫌いするのも理解できる。

逆に、民主党のヒラリー・クリントン氏の「メール疑惑」は、元CIA・NSA(米国家安全保障局)職員エドワード・スノーデン氏を支援しているウィキリークスによって暴かれた。そのスノーデン氏が現在ロシア国内で匿われているのは、注目すべき事実である。

歴史的に、民主党は共産主義中国にべったりだ。それに対して共和党は、共産主義国家とは相いれない部分が多いもののゴルバチョフ以来、どちらかといえば中国よりはロシア寄りである。

実は「自由朝鮮」のような朝鮮半島固有の問題に見えることでも、米国内の複雑な政治や国際情勢と密接に結びついているのである。