2020年に女性人口の半数が50歳以上になる。だからこそ、50歳以降をごきげんに暮らせる考え方を身につけたいーーそんなコンセプトからはじまった料理家の山脇りこさん連載第4回。今回は「大人になってからのひとり旅」について。 

「ごきげんは七難ふきとばす~50歳からの養生日記」コチラ

ひとりで大丈夫? と聞かれる

50歳になってはじめた、いや、久々に復活したのが、ひとり旅
ごきげんでいるために、とってもよい効果をあげていることのひとつです。

ひとり旅復活のひきがねになったのは、たしか49歳のとき。仕事が忙しすぎて、旅先について一切調べないまま、とあるグループ旅におまかせ~って感じで便乗参加した。

途中、私が一人でホテルに戻ることになったら、「ひとりで大丈夫?」と真顔で聞かれた。ええええっー?と唖然としたのだけど、うん、思えば、そう聞きたくなるくらい、たよりなく、ただついて歩き、旅の筋肉も弛緩しきっていたと思う。
いいのか?自分?と思わず、問いただした。

ふりかえれば、バブル世代の類にもれず旅好きで、20代からいろいろ旅してきた。合議がいらない、すかっとひとり!が心地よくてひとりでもよくでかけた。

しかし、結婚したら、いつも相方とふたりで旅するように。ふたりとも無類の旅好きで、お互いひとりでいろいろ旅してきた同士だからラクチン。それに彼とは、たいがいなんでも、しょーもないことでも、ふたりなら楽しめて、おもしろがれた。だから結婚したのだろう。旅は暮らしと近いことだと常々思う。ともかく、ふたり旅をいっぱいした。

そして、気がついたら50歳。ひとりで大丈夫?と聞かれるヒトに……。

もしかして私、ほんとに、ひとりで旅行できなくなってんじゃない?
さらに、そういえば、ひとり旅って、いつまでできるのかな?

いや、もちろん、ひとり旅なんてできなくってもいいし、なんも、だーれも、困らないのですけどね。

ひとり旅できる筋肉を呼び戻したい

これまでの旅で、今でも、目の前に写真があるかのごとく細部まで鮮明に思い出す旅の瞬間がいくつかある。

たとえば、忘れもしない22歳、初のぼっちNY。まだまだ治安がよろしくなかったNY。パークの前についたバスから降りて、やっと着いたよ~と思って仰ぎ見た真冬の真っ青な、高いあの!空。まちがえて乗ったチャオプラヤ川をわたるお坊さんばっかりが乗る小さな船。スキンヘッドからにょきっと飛び出しているように見えたワットアルン(暁の寺)。乗り換えの香港で、飛行機が遅れて8時間も待つことになり、途方に暮れながら見ていた免税店。巨大な蒸篭が重くて泣きたかった、台北の夜の暗―い道。

東京より高く、青が濃く感じる青空はNYの最高のギフトだと思う 写真提供/山脇りこ

どれも特別な景色とかじゃないけど、深く胸に刻まれているのは、うーん、ひとりだったから、かもしれない。

ひとりで考えて、決めて、旅をする。自分相手に、あーでもないこーでもない、脳内独り言をつぶやきながら歩き続ける。あたし天才じゃない?みたいなフレーズや、いい文章が浮かんで、沢木耕太郎か?なんて思ってメモったり。今、一緒にいたい人に、まめまめしく絵葉書を書いたり。そもそも大切な人が誰か、天啓みたいに、急にはっきりしたり。

ひとりだからこその、あんな旅、もうできなくなってるのかもしれない。

ぼおおっと生きてんじゃねーよ! 

そこで、去年、下の子が大学を卒業したと聞いた、かつてバックパッカーだった友人に、ひとり旅復活?と聞いてみたら、「そうだねー、ひとり旅かあ。子供を旅行に連れて行ってるうちに、だれかが一緒じゃないと旅ができなくなってんのかも、私、やばいかな?」と。

ううむ、やばくはないが・・・。

ぼおーーーっと生きてんじゃねえよ!』耳元でチコちゃん*1の声がした。