新天皇とトランプ氏の面会のタイミングが、あまり良くないと言えるワケ

「ロシア疑惑」が再燃する中で…
海野 素央 プロフィール

加えて、コーリー・ルワンドスキー元選対本部長もトランプ大統領の命令に背いていました。トランプ大統領は、大統領擁護派のジェフ・セッションズ前司法長官がロシアゲートの捜査に関与することを強く望んでいました。そこで、トランプ大統領はルワンドスキー氏を通じて、自分のメッセージをセッションズ前司法長官に伝えようと試みたものの、彼は命令を実行に移しませんでした。

このように、トランプ大統領はモラー特別検察官の捜査を妨害しようと数々の手段を試みましたが、周辺の人物は次々に命令に背きました。こうした経緯により、かえってモラー氏は立証が難しくなったという見方もあります。今後は議会がモラー氏の捜査結果を精査し、大統領は司法妨害を行なっていたか否かの判断を下すことになります。

 

「トランプタワー面談」の真実

もう一つの争点であったロシア政府との共謀に関しては、トランプ陣営の人物がロシア人と接触を図っていたものの、連携していたとまでは認定できなかった、とモラー特別検察官は結論づけています。ただし報告書の随所に、疑惑を強めるような記述を見つけることができます。

たとえば、報告書には「(内部告発サイト)ウィキリークスが、クリントンを傷つける情報をこれからもっと公開する」と、トランプ大統領が側近に語ったと記されています。

トランプ大統領は、筆者が以前「アメリカを崩した黒幕『26165部隊』『74455部隊』の謎」で紹介したように、ロシア連邦軍参謀本部情報局(GRU)がハッキングしたクリントン陣営のメールをウィキリークスがいつ公開するか、事前に把握していました。トランプ陣営が、ウィキリークスによるクリントン陣営のメール公開のタイミングに基づいた選挙戦略を計画していたことも、報告書に記されています。

さらに注目が集まったのは、ニューヨークのトランプ・タワーで2016年6月9日に行われた、長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏、娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問、ポール・マナフォート元選対本部長と、ロシア人女性弁護士との面会に関する捜査内容です。

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報告書によるとトランプ陣営は、この面会に関する声明の中で、「(ロシア人弁護士から)トランプ陣営にとって有益な情報があると告げられた」という一文があったのを削除し、代わりに「ロシア人の子供との養子縁組についての面会であった」という文言を加えました。その指揮を執ったのは、トランプ大統領本人だったといいます。大統領自身が、自陣営とロシア人弁護士の面会目的の隠蔽に積極的に関与していたのです。

疑惑はこれで終わりません。マナフォート元選対本部長が、16年8月2日の大統領選挙の最中にニューヨークでロシアの情報機関関係者と面会し、中西部の州における選挙戦略について話し合っていたことも証明されました。

これらはフェイクではなく、すべて事実として認定されています。共謀の有無についても、米議会はモラー報告書を精査し、独自の結論を出す可能性があります。