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「ロシア疑惑」が再燃する中で…

報告書をよく読んでみると

2016年の米大統領選挙におけるトランプ陣営とロシア政府との共謀・司法妨害を巡る疑惑、いわゆる「ロシアゲート」に関する報告書が4月18日(以下現地時間)、公開されました。448ページにわたるこの捜査報告書は、ドナルド・トランプ米大統領と側近、トランプ陣営のスタッフの言動を詳述しています。

ウィリアム・バー米司法長官は同日、モラー報告書公開の前に記者会見を開き、「共謀も司法妨害もなかった」と改めて強調しました。しかし、捜査報告書を精読すると、トランプ大統領は「完全に潔白」とは到底いえず、むしろ「限りなく黒に近い灰色」であることが明らかになったといえます。

 

まず焦点となったのが、トランプ大統領の司法妨害の有無でした。

報告書には、「徹底的な捜査の終了後、大統領が司法妨害を犯していないと確信を持てるならば、そう記述しただろう」「大統領は犯罪を犯したとは結論づけていないが、潔白ともしない」と明記されています。おそらくロバート・モラー特別検察官は、「現職大統領は起訴できない」という司法省内のルールに基づいて結論を見送り、米議会に判断を委ねたのでしょう。

ところが、バー氏は米司法省に疑惑の有無に関する判断そのものが委ねられたと解釈し、一方的に「司法妨害はなかった」と発表しました。しかも米メディアによると、司法省は米議会に報告する前に、ホワイトハウスと捜査報告書の内容を共有し、対策を練っていました。トランプ政権と議会民主党との対立が先鋭化している最大の原因はここにあります。

バー司法長官(Photo by gettyimages)

トランプ大統領が司法妨害を犯したか否か――その判断を握るのが、大統領とドン・マクガーン元大統領法律顧問とのやりとりです。マクガーン氏は、ロシアゲートのキーパーソンです。

報告書によれば2017年6月17日、トランプ大統領は大統領の別荘キャンプデービッドからマクガーン元大統領法律顧問の自宅に電話を2回入れ、モラー特別検察官を解任するように指示を出しました。これに対してマクガーン氏は、「『土曜の夜の虐殺』を引き起こす恐れがある」と判断し、大統領の命令に従わず、辞任しました。

「土曜の夜の虐殺(Saturday Night Massacre)」とは、リチャード・ニクソン元大統領が1973年10月20日の土曜日に、ウォーターゲート事件を捜査していたコックス特別検察官を解任した衝撃的な出来事です。当時の司法長官と副司法長官も辞職しました。

マクガーン氏は、ラインス・プリーバス大統領首席補佐官とスティーブン・バノン首席戦略官兼上級顧問(ともに当時)に、トランプ大統領が「狂ったでたらめなこと」を命令してきたと伝え、彼らを巻き込まないように配慮しました。

一方、トランプ大統領はモラー特別検察官によるロシアゲートの捜査を終了させるため、裏工作によってモラー氏の解任を試みました。

これ以前にもトランプ大統領は、「大統領がモラー特別検察官を解任しようとしている」と報じたメディアに対して、「記事は誤りである」と反論するよう、マクガーン元法律顧問に指示を出したことがありました。メディアの報道は正確であると認識していたマクガーン氏は、このときもトランプ大統領の命令を実行しませんでした。

側近も次々に裏切っていた

トランプ大統領の指示に従わなかったもう一人の人物が、ジェームズ・コミー元米連邦捜査局(FBI)長官です。

トランプ大統領は、コミー元FBI長官に「自分がロシアゲートの捜査対象になっていないと公表しろ」と圧力をかけていました。捜査対象でないとなれば、疑惑が晴れるからです。

しかし、コミー氏は2017年5月3日の米議会公聴会で、大統領が捜査対象であるかについて明言を避けました。報告書によれば、トランプ大統領はこれに激怒しコミー氏を解任しました。解任理由として、ヒラリー・クリントン元国務長官のメール問題を巡る捜査で混乱を招いた責任や、FBI職員の士気低下をもたらした管理責任が挙がりましたが、これらは建前に過ぎなかったのです。