Photo by iStock
# 財務省 # 日銀

消費増税10%で日本経済が「メルトダウン」する可能性

財務省にとっての「平成」(3)

民主党政権の「悪夢」

過去2回にわたって「平成の財務省」を振り返ってきたが、消費税導入からバブル崩壊、そして「失われた10年」と、経済界では激動の時代だったことがわかる。

【第1回】日本はあの時、「バブルの潰し方」を間違えたのかもしれない
 ⇒https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64039
【第2回】財務省はいつから「同じ失敗を繰り返すエリート集団」になったのか
 ⇒https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64039

政局的にも、平成の時代には大きな変化があった。平成21年(2009年)、麻生内閣が倒れ鳩山内閣が成立し、初の野党政権が誕生したことだ。

戦後初の本格的政権交代であり、国民の期待も高かった。経済環境としても、リーマンショックが起こった後の「最悪のスタート」なので、放っておいてもこれ以上悪くならないと考えていた。ウォール街では「デッド・キャット・バウンス」という格言があり、「高いところから落とせば死んだ猫でも弾む」という意味だ。まさに日本はこの状況だった。

 

たしかに、鳩山政権は麻生政権の予算規模を継続したので、最悪の状況よりはマシになった。だが、なかなか経済は上向きにならなかった。焦る鳩山政権に追い打ちを掛けたのが、日銀の予想外の動きである。

いや、実際には日銀が「動かなかった」ことが問題になった。大きな経済ショックへの対応策は、とにもかくにも金融緩和を行うのがセオリーだ。だから欧米の中央銀行は猛烈な金融緩和を行い、景気回復を図った。その結果、世界的な通貨量も大きく増加した。ところが、日銀はなにも対応しなかったのだ。

その結果、円が他国通貨に比べて相対的に少なくなり、価値が高まって猛烈な円高が起こった。リーマンショックにおいて、日本は欧米ほどのダメージを受けなかった。だが、円の「独歩高」が進んだことにより、日本経済の低迷が長引くことになった。典型的な政策対応ミスだったといえる。

2009年7月22日に日本で46年ぶりとなる皆既日食が観測された(Photo by iStock)
拡大画像表示

結果的に民主党政権は、期待されていた雇用の改善も図れず、今となっては「悪夢」の時代と振り返られることも多い。

とりわけ、東日本大震災の際に設けた復興増税は歴史上類を見ない悪政だし、これを嚆矢として消費増税を既定路線化したことも公約違反だ。普天間基地移設も含め、現在も引きずる大きな課題を残した政権だったといえる。

平成24年('12年)に自民党政権が復権し、第二次安倍内閣が立ち上がった。第一次内閣時代は閣僚の不祥事や政治とカネ問題で苦しんだが、現政権はアベノミクスの一本槍により、民主党政権の悪夢を清算することに注力してきた。

2012年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が上映。興行収入が50億円を突破しヱヴァ劇場版で最高記録となった。(Photo by gettyimages)
拡大画像表示

なにより雇用が改善したのはいいことだ。

若い世代の就職環境は格段に良くなったので、安倍政権は保守層が多い高齢者だけでなく、若い世代の支持率も比較的高い。ただし、平成26年('14年)の消費増税は失敗だ。なかば財務省に根負けしたところもあったが、完全に景気回復に水を差してしまった。

 

思えば、平成不況は消費税の導入とともにある。平成9年('97年)に3%から5%、平成26年5%から8%への増税はいずれも景気にダメージを与えたのは明らかだ。にもかかわらず、政府は未だに消費増税による景気後退を認めていない。

令和になってから5ヵ月後、消費税は10%になる。もし財務省および政府が平成という時代をしっかりと省みるのであれば、今すぐにでも増税を撤回するべきだ。(終)

『週刊現代』2019年5月11・18日号より

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら