避妊も妊娠・出産の教育も不足している日本

前出・遠見さんはこう語る。

「そうなんですよね。相手は思いやりや励ますつもりで言った一言にも傷ついてしまうことがあるんですよね。私の場合は、不妊治療がつらくて、心が荒んでいたときに、“早く妊娠して楽になりたい”とつぶやいたら、子育て中の女性に“子育ての方がもっと大変ですよ!”と言われ、なんともいえない気持ちで傷ついたことがありました。そんなことで傷くなんて、と思うかもしれませんが、子供に関しては、周囲が思う以上にセンシティブになる方もいます。価値観も人それぞれ、非常にパーソナルな問題です。

記者会見など見ていると『お子さんの予定は?』という質問は、定例の質問になっているようですが、デリカシーのなさを感じることがあります。おめでたい席だからこそ、配慮が必要だと思います」

記者会見のような質問だけでない、「絶対授かる妊活!」、「1年後に赤ちゃんを授かる方法」、「キラキラワーママ」、「40代でも諦めない妊活」と頑張れば叶う目線の情報は検索すればいくらでも入手できる。でも、その情報をプレッシャーに感じてしまう女性たちも多い。

また、有名人の高齢出産が報道されると、「40代でも妊娠できるのではないか」という気持ちにもなってしまいがちだ。平成28年の厚労省の『人口動態統計』によると、第1子出産年齢は平均年齢は30.7歳で、20年間で4歳も上がっている。30~35歳の出産率は、約10年前に比べると倍以上になっている。だが、加齢により卵巣機能は低下する。妊娠率は、30歳以降低下し、35歳位からはさらに低下し、流産率が上昇するのも事実だ。

「もちろん、40代で妊娠・出産される方もいますが、妊娠・出産に絶対はありません。これはどの世代にもいえることです。日本は、性と生殖に関する健康や権利をはじめとした性教育が遅れています。初経から初産まで平均およそ20年という時代だからこそ、月経とのつきあい方や避妊法、そして、年齢が不妊に与える影響などの情報を得る機会が、女性にも男性にも必要です。子供を産むことが偉い、ということではなく、子供を産むか産まないか、産むならいつ産むかということを考えて、“自分で選択する”ことが大切だと思うのです」(遠見さん)

仕事をがんばってからと後回しにしがち。産む産まないは“自分でできるだけ早めに選択する”ことが大切だ。photo by iStock

私自身は、30代で子供を望んだこともあったが、結局は子供を持たない人生を選択した。親には、「DNAを残せなくてすまない」と思う部分は正直ある。が、DNAでなくても残せるものはないかとこの年齢になっても模索している。それはそれで楽しい人生だったりしているのだ。