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金正恩・プーチンの「カラ振り初会談」で見えた、北朝鮮の行く末

今さらなにをやるつもりなのか

金正恩がロシアに目を向ける理由

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が4月25日、ロシアのウラジオストクを訪れ、プーチン大統領と会談した。両首脳は非核化問題や経済面での連携と協力を確認したが、大きな進展は期待できそうにない。

正恩氏がプーチン氏と会談するのは、これが初めてだ。どちらが先に会談を望んだのか、報道では確認できないが、私は事実上、正恩氏の側とみる。米国のトランプ政権から非核化を迫られて、より苦しい立場に追い込まれているのは北朝鮮であるからだ。

 

正恩氏は昨年3月、中国を訪れ、習近平国家主席と会談した。冷え切っていた中朝関係を改善し以後、計4回にわたって中朝首脳会談を開き、対米交渉で中国を後ろ盾に付けるのに成功した。だからといって、中国が全面的に北朝鮮を支援してきたわけではない。

そもそも、中国は北朝鮮を完全に信頼していない。北朝鮮が核とミサイルを開発してきたのは、米国に対抗すると同時に、実は「中国の子分という立場から抜け出したい」という秘めた思惑もある。中国はそうと分かっているからこそ、核開発に反対してきた。

加えて、中国は米国と貿易戦争の真っ只中にある。当初は2月末が期限だったが、交渉は難航し、いまや妥協が成立するのは、早くても5月以降とみられている。そんなタイミングで、中国は北朝鮮を露骨に支援して、米国を刺激するのは避けたいはずだ。

正恩氏とすれば、中国に多くを期待できない以上、ロシアに目を向けざるを得ない。私は1年前、正恩氏が初めて中国を訪問した直後、2018年3月30日公開コラムで「中国の次はロシアである」と書いた(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55057?media=gb)。

当時は米中関係がいまほど緊張していなかったが、北朝鮮は米中関係がどうあれ、米国に対抗するために、中国だけでなくロシアも味方につけたい、と考えるのは当然である。実際、外相レベルでは何度も接触し、首脳会談の可能性を探ってきた。

プーチン氏は会談の意思をちらつかせながらも、先送りしてきた。相手を焦らせば焦らすほど、いざ会談となったら有利な立場に立てる、という計算があっただろう。プーチン氏にとって、北朝鮮の地下に眠っている膨大な希少資源は魅力だが、焦る必要はない。

米中対立が激化し、中国が動きにくくなったタイミングを見計らって、プーチン氏はようやく重い腰を上げた。老獪なプーチン氏は正恩氏に自分の価値を見せつけている。だが、ここから先は不透明感が漂っている。