つい2、3年前だというのに……子供はすぐ忘れる。

今動画を見ている子供たちもすぐ忘れてしまうから、何でも見せていいのでは……というのはさすがに思考停止だが、それほど不安にならなくても大丈夫なのかも知れない。
とりあえずもう少しインタビューを続けよう。

――では、例えばどういう動画を小さい子にすすめたいですか。

実況。おもしろい。

――前に3才くらいの子が遊びに来たとき、YouTubeで子供がおもちゃ紹介する番組を見てましたが、あの番組はどうでしたか。

そうそう、あれね。おれあれ飽き飽きしたね。

――だめでしたか。

うん、いまもう飽き飽きした。

――昔、自分が見てた動画とか番組を今見たら、なんでこんなの見てたんだろうなって思いますか。

うん! 思う! むかしのは今では見ないな。

――子供の時、見てて良かったなっていう番組はなんですか。

おぼえてないんだけど、いまたぶんそれをみるとね。うーん、おもしろくないなーって思うかもしれない。

――「プロフェッショナル 仕事の流儀」の山高先生(小児科医)の回をよく見ていたのを覚えていますか。

あーおぼえてる!

――今見てもおもしろいでしょうか。

あれはまだおもしろい。

――ガンダムとかスターウォーズはどうでしょう(彼は3歳でスターウォーズとファーストガンダム鑑賞済み)。

スターウォーズかあ。最近ぜんぜんみてないなあ。YouTubeみてるからなあ。

――YouTubeのおもしろさとはなんでしょう。

たぶんねそれね、YouTubeみてるやつしかわかんないとおもう。

――おもしろさがですか。

うん。ずっと見てるやつしかわかんないとおもうな。おれね、タブレットの画面で三角ボタン押すともどるんだけど、まちがったときあれつかってる。もどしてまたさがしてる。で、ないときはもう一回押すともどるんだけど……(以下、なぜかYouTubeを視聴するときのスタイルについて語り始める)。

――ありがとうございました。

YouTubeを見続ける子への秘策

結論からいうと「YouTubeの面白さは見てるやつにしかわからない」。
ブルース・リーの名言「ドントシンクフィール(考えるな、感じろ)」に通ずるパワーワードである。

6歳の彼から振り返るといわゆる「虚無動画」は、つまんなくて見てられないという感想になっていたのは、とりあえずひとつの安心材料ではあるかも知れない。
子供というのは記憶が曖昧で改ざんもあると思うのだが、少なくとも現時点ではそれほど印象に残っている動画もなさそうである。

幼児のYouTube問題とは結局のところ「親がなにを見せてなにを制限するか」という問題に落ち着きそうである。

それでもYouTubeを見る子供が許せない場合、いささかエクストリームではあるが、親がYouTuberになることを提案する。

そうすれば子供になにか別の種類の刺激を与えることが可能だ。

実際に、ぼくはこないだ、テンションだけで芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を読むという動画をYouTubeにアップし、子供と一緒にそれを鑑賞した。

やはり知っている人間がYouTubeに登場するのはインパクトがあるらしく、彼は「あははは!」と笑いながら真剣に見入っていた。

そして、YouTubeを見終わってひとこと、

「うーん……カンダタ、たすかるとおもったんだけどなあ~

え……そっち? めっちゃストーリーに入り込んでるじゃん。俺に突っ込んで欲しかったんだけど……まあいいか。

追記 今や7歳となった彼であるが、成長して小手先の説得は通用しなくなってしまった。現在YouTubeは勉強をしたあとのみに30分だけ許しているが、たまにぼくはこう言って怒る。

実況動画ばっかり見てないで自分でゲームやりなさい!

ついに新世紀が到来した。


*『キッズファイヤー・ドットコム』が川口幸範さんによって漫画化され、ヤングマガジンにて連載中。是非小説と漫画とを読み比べてみてください。どちらもめろんワールド炸裂です。無料の試し読みこちらから!