現在ヤングマガジンで漫画化もされている『キッズファイヤー・ドットコム』ではクラウドファンディングでのホストの子育てとその行く末を描き、意外ながらリアルな育児ワールドを展開している作家の海猫沢めろんさん。自身も小学生の子どもを育てている真っ最中だ。
休暇というと「子供が動画を見すぎる問題」に直面する人も多いのではないだろうか。アイデアマンのめろんさんに、YouTube問題について聞いてみた。
〈海猫沢めろんさん連載「パパいや、めろん」はこちら〉
ずっとタブレット見てんじゃねーよ!
ある日のことだ。
ぼくは、AmazonPRIMEでガンダムビルドファイターズトライの22話ばかりを延々と見ているウチの子(幼稚園児)にタブレットを渡してキレ気味に言った。
「ガンダムはもういいからYouTubeを見たまえ!」
朝起きたらまずガンダム、そしてガンダム……ガンダム……うあああ! このガンダムループから抜け出したい!
最初は「えーなにそれ」と言っていた子供であったが、「ほらこのゲーム実況とかヒカキンとか、おもしろいものがいっぱいあるよ」と、なだめて無理矢理見せた。
それから1年。小学生になった今、うちの子供はひたすらゲーム実況ばかりを見るゲーム実況ジャンキーだ。お気に入りYouTuberは「だいだら」。たまに「はい、だいだらでーす。今日はーこのゲームをやりまーす」とものまねで実況してくれることもある。
果たしてこれで良かったのだろうか……?
子供にゲーム実況を見せたほうが
いいかも知れない3つの理由
スマホ子育てがスタンダードになった現代。
本当はYouTubeをあまり子供に見せたくないという親が多いようだ。
しかし、ぼくは逆だ。
見せたほうがいい。
確かにYouTubeはテレビとは違って検閲がなく、子供には不適切な動画や質が低いものも多い。それでもやはり見せたほうがいいと思う。
なぜならこれは僕らの世代でいう「ファミコン」や「遊戯王」と同
当時は批判にさらされたが、振り返ると結局それはちゃんとした文化になっているし、世代の共通体験として語り継がれる。
今の子供にとってのYouTubeは間違いなくそうした文化のひとつだ。
だからとことんやったほうがいいし、それをきっかけにして出会う友達のほうが重要だったりする。
親は気づかないけど、共通の話題でコミュニケーションコストが節約されるのは、子供にとっては本当に大切だ。
どうせ放っておいても学校でそういう知識を仕入れてくる。
ならば先に体験させておいても問題はない。
ちなみにガンダムは今やおっさんのコンテンツなので、逆に子供の世界で浮く可能性がある(子供に聞いてみると、クラスでガンダムを見ている同級生は皆無)。
というわけで6歳ヒカキンデビュー
というわけで、うちの場合、6歳の頃にヒカキンの動画を見せたら案の定めっちゃハマってその後、夜までずっとヒカキンのYouTubeを見続け、ゲーム実況にたどり着いていた。
ゲーム実況というのは市販のゲームを実況つきでプレイする動画なのだが、子供にとっては近所のおもしろいお兄さんと一緒に大人っぽいゲームをやっている体験そのものだからそりゃあ楽しい。
字が読めない幼児のために、リアクション付きで台詞を読んでくれるし、バトルものをプレイしているときでもヒカキンは、あまり暴力的な言葉を使わない。
実況全体についてすごいなと思うのは、ハードもソフトも持って無くてもやった気になれることだ。
つまり昔のように高いゲーム機を持っている金持ちの家にいかなくても、全員が同じ話題で盛り上がれる。
考えてみるとゲーム実況には、少なくとも3つのメリットがある。
1 子供にとってコミュニケーションの道具になる
2 感情とリアクションの勉強になる
3 文化資本の格差をある程度埋めてくれる
デメリットとしては自分でゲームをプレイしない受動的な人間になりそうなことだろうか(もしかするとこれが一番嫌なことかも)。
しかし、もっと小さな幼児―0~4歳くらいの幼児期の子にとっても、同じようにYouTubeは良いといえるのだろうか?