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神戸山口組「幹部襲撃事件」と「巨額詐欺事件」の不穏な関係

2月に話題になったばかりだが…

4月18日午前0時過ぎ、神戸の街で"異変"が発生した。

市内の商店街で、神戸山口組傘下にある與組の与則和組長が、何者かに背後から刺されたのである。犯人は一旦、レンタカーで逃走したが、およそ1時間後に近隣の灘署に出頭。レンタカーからは凶器とみられる刃渡り21センチの包丁が見つかった――。

事件の概要を伝え聞いた警察幹部は、図らずも「しまった」「大変な事態だ」と漏らしたという。いったい、どういうことなのだろうか。

 

「極秘戦闘部隊」のしわざか

事件について調べてみると、まず襲撃された与組長は、山口組と現在抗争状態にある神戸山口組のキーマンであることがわかった。暴力団情報に通じる捜査関係者が語る。

「与は、神戸山口組組長の出身母体で、4000人もの構成員を擁する中核組織・山健組のナンバー2、若頭だ。構成員の実質的な統括役と言える。

武闘派としての誉れも高く、かつて敵対組織の幹部を射殺した事件に関与し、逮捕されたこともある。これがきっかけとなって、報復として山口組三代目組長の田岡(一雄)が襲撃される事件が発生し、一大騒動に発展したことから、いまなおその武勲が語り草になっている。

現在の抗争においても指揮を執る立場で、キーマンと目されている重要人物だ」

他方、襲撃した側は、六代目体制下の山口組の中軸組織である弘道会傘下、野内組関係者であったという。

野内組といえば武闘派として名高く、弘道会における「偵察・暗殺部隊」の主要な構成メンバーを輩出する組織でもある。現在はその存在すら伏せられているが、かつて「十仁会」と呼ばれたグループのことだ。

このグループは、弘道会傘下の組織から知力・体力にすぐれ、かつ刃物や銃器の扱いに慣れた忠誠心の篤い組員らを集めて編成されている、と言われている。

対立する組織だけでなく、警察をはじめ捜査当局をも対象として、尾行や盗聴も辞さない情報収集を行い、関係者の自宅や拠点はもちろん贔屓にしている飲食店や愛人宅など立ち回り先も網羅、いざという時に備える精鋭集団――すなわち「極秘戦闘部隊」である。現体制の「飛び道具」のようなものと評されてもいる。

記憶に新しいところでは、2017年1月、山口組と神戸山口組との勢力争いが続く最中、山口組側からの離反の動きが見られた京都・会津小鉄会の定例会に、弘道会若頭補佐として野内正博組長らが乗り込み、総本部を占拠。会長の首を挿げ替えた。

「このときに流血を免れたのは、その力があまねく知られていたからだ」

前出の捜査関係者は、この騒動について、当時そんな解説をしていた。またこの際、「極秘戦闘部隊」による暗殺事件にも言及した。2016年に岡山で発生した事件のことだ。

「神戸山口組の柱の一つである岡山・池田組の若頭すなわちナンバー2が、2016年5月に射殺された事件も忘れ難い。対立抗争が続く神戸山口組の資金源を狙い撃ちしたものとみられるが、家を出る時間や出入り口など、現場の情報を周到に把握した上での犯行だった。

実行犯として出頭したのは、弘道会傘下の高山組組員。昔で言うなら、『十仁会』の精鋭だ」

その精鋭部隊が、また表舞台に登場したというのである。