テレビを見ない「ジェネレーションZ」にタテ型動画ニュースは届くか

大手メディアが始めた挑戦
奥村 信幸 プロフィール

「テレビは誰も見てない」

まずわかったのは、3人とも、ニュースを得るためだけでなく、娯楽の選択肢としてもテレビを全く見ていないということだ。早稲田大学からの交換留学生で国際政治を専攻している福田善弘(20)は「住んでいる学生寮のソーシャルルームにテレビはあるが、誰も見ているのを見たことがない」。

福田善弘

同じく日本語学と日本文学専攻の1 年生、アリス・リーズ(19)は「オリンピックとか、よほどの動機がないとテレビを見る気が起きない」と語った。彼女はアメリカの高校を卒業している。高校4年生の時、メディアの授業でニュースが教材になった時には多少関心が高まったが、「別にニュースに詳しいからって友達からリスペクトされるわけでもないし、今の高校生や大学生は、あまり関心ないんじゃないかな」。

アリス・リーズ

彼らは普段、どのようにニュースを得ているのか。ロサンゼルス生まれで中国と日本で育った、ジャーナリズムと国際関係論を専攻する1年生のエディ・ダン(19)は、「ジャーナリズムのクラスを取っているので、ワシントンポストの主要面は読まないと小テストに対応できないから、タブレットで読んでいる」が、他のニュースメディアのサイトやアプリに自主的にニュースを見に行くわけではなく、Facebookで友人がポストしてくれたものや、LINEニュースでNHKやBBCなど主要なメディアから通知が来るもののうち、興味があるものをクリックして読むとのことだ。

もっとも、大半は見出しを拾い読みする程度で、記事を詳しく読んだり、映像を見たりするのは1割程度に過ぎない。Facebookでニュースのリンクをたどる際にはパソコンを使うが、ニュース消費の70%以上はスマートフォンを使う。映像よりもテキストの方が効率よくニュース情報が手に入る、とも感じている。段は「何か決定的なシーンでもない限りは、映像はあまり記憶に残る感じがしない」という。

エディ・ダン

「ワシントンだから授業に政治ニュースの話とか出てくるし、見なきゃとは思うけど」(福田)、ニュースに対する関心は今ひとつ。ニュースサイトは訪れず、ソーシャルメディアを入り口にして、興味を引かれたものだけを見に行く。通学時間や勉強の合間に見出しやテキストをつまみ読み、断片的にニュースを消費している様子が垣間見える。

この3人はアクティブなユーザーではないものの、アメリカの高校生や、大学生の間で一番利用されているアプリはSnapchatだという。こみ入ったテキストベースでの説明が不要な、プライベートな写真などのやりとりでは、ほとんどがSnapchatを使っているようだ。

Facebookは、ニュースを拾ったり、まとまった意見を交わしたりするために利用している。意外なことに、3人ともTwitterは全く使わない。目にするのは「Twitterの画面のスクショがやりとりされる時だけ」(リーズ)だという。

そうすると、若者に訴求するためにSnapchatを選択したステイチューンドの戦略は、けっこう合理的かもしれない。

 

「なぜ、このニュースなのか」を説明する

実はステイチューンドをSnapchat上で見つけるのには、少し骨も折れる。3人ともタイトルを知っていた程度で、インタビューを依頼して初めて視聴してもらったが、「見つけるのが大変だった」と同じ反応が返ってきた。

Snapchat上でステイチューンドを見るのは、他のソーシャルメディア上で行われるニュースの消費とは少しスタイルが異なる。Facebookでニュースを見つけクリックする時、ユーザーはニュースの中味に見込みをつけ、自らの意志でさらに内容を知りたいと思い行動する。

しかし、ステイチューンドは開くまで中味がわからない。新聞やテレビのニュースと同じパッケージ型のコンテンツだ。「若いユーザーでも2〜3分程度なら飽きずに見ていられるのでは」と学生たちは言うものの、「サブスクライブには(配信のある朝夕に定期的に視聴する)には少しギャップがある」(ダン)という。日常的・習慣的に視聴してもらうには、もう少し何かが必要なようだ。