テレビを見ない「ジェネレーションZ」にタテ型動画ニュースは届くか

大手メディアが始めた挑戦
奥村 信幸 プロフィール

平均5秒でカットが変わる

番組は約3分、基本的に3人のうち1人だけが登場する。扱うニュースはメインが1本か2本程度だが、その他に10〜15秒程度のニュースも加えて約10本のニュースが詰め込まれている。

かなり早口で、画面にはナビゲーターの顔の上下にコメントに合わせた映像や写真が絶えずスライドインし、重要な言葉の字幕が表示される。トランジション(画面の切り替え、切り分け)はかなり早い。

映像は平均5秒程度、字幕も最短だと2秒程度で消えてしまう。ユーザーが画面をタップすると、項目を飛ばして次の話題に移ることができる。相当に忙しい(せっかちな?)ユーザーにも対応している。

テレビ局が作るということもあり、映像にはかなりこだわっている印象だ。2019年4月16日午後のメインニュースは火災から一夜明けたノートルダム寺院だったが、NBCのテレビやウェブサイトの視聴者の印象に必ず残る映像、例えば尖塔が炎に包まれて崩壊するシーンは、ステイチューンドでも強調して長めに使うなど、忙しくても「大事なシーンは逃さない」よう、綿密な計算のもとで映像が編集されているように見える。

 

短いコメントに合わせて、写真もかなりの頻度で使われる。オリンピックなどの大きなイベントや、東日本大震災のように地理的にも時間的にも広がりのある出来事を短時間で振り返るには、スライドショーが向いている。出来事を振り返る際に、決定的な瞬間や人物の表情を捉えた、一枚の写真をきっかけに思い出す人も多いと思う。写真はショートコンテンツで要点を押さえる演出に向いている。

しかしそれにしても、ステイチューンドの画面の展開はとにかく忙しい。ユーザーにも、かなり集中して視聴することを要求している。視覚と聴覚を総動員しないと、肝心な情報を見逃してしまう危険もある。

「ステイチューンド」では、映像が目まぐるしく遷移していく

ステイチューンドでは、可能な限りオリジナルの映像にもこだわっている。たとえば、2018年秋にカリフォルニア州一帯を襲った大規模な山火事は何日にもわたって伝えられた。シュウォーツはNBCテレビの記者として現地に派遣され、午後7時からのテレビのニュースにも登場していたが、スナップチャットの番組の時には、場面や話し方がより若者向けのカジュアルなものになった、別バージョンの現場リポートが放送されていた。

大学生の「ニュース事情」を聞いてみた

2019年1月現在、ステイチューンドは月に2500万から3000万人のユニークユーザーを獲得している。ユニークユーザー数が適切な指標になるかどうかという点はさておき、かなりの成功のように見える。

しかし、筆者の交友関係は所属する大学の研究所周辺などかなり限定的であることもあって、「欠かさず見ています」という若いユーザーには、リサーチを開始して半年以上経ってもまだ出会ったことがない。研究で訪れたいくつかの大学のジャーナリズム大学院の学生に聞いても、「ああ、知ってます」とは言うものの、自発的・日常的にスナップチャットでニュースを見ているわけではない、という程度だった。

NBCがユーザーの詳しいデータを発表していないため、ステイチューンドがターゲットにしている高校生や大学1〜2年生の中に、高い頻度で訪れるユーザーが果たしてどれだけいるのか、実態はよくわからない。

ニュースへの関心が低下し、従来のように新聞やテレビ、ニュースのウェブサイトでニュースに触れる人が著しく減っている中、消費の変化に合わせてニュースを届けるスタイルを抜本的に変えていかなければならない、という課題は日米共通のものでもある。

ステイチューンドの試みに何かヒントは隠れていないか、筆者が研究の拠点にしているジョージワシントン大学の学部生3人に協力を得て、考えてみることにした。非常に狭く偏ったサンプルであることは否めないが、若者が自らのメディア消費を正直に語ってくれたという意味で価値あるものだ。彼らの発言から、ニュースコンテンツのこれからを考えてみたい。