ドラマの「イッキ見」は心身に悪いか?実は、意外なメリットが…

連続視聴がもたらす影響とは
丸井 友泰 プロフィール

社会性が向上する可能性も

イッキ見のプラス面について心理学的な検証を行った研究も、実は存在する。

『Journal of Behavioral Addictions』という医学雑誌に2017年に掲載された、「Toward a qualitative understanding of Binge-Watching behavior /ビンジ・ウォッチング(イッキ見)の定性的理解に向けて」という論文がそれだ。イッキについて論じた論文で、生命科学・生物医学分野の雑誌に掲載された論文は極めて少ないという点で、大変貴重と言える。

当論文の研究において、イッキ見には若干の中毒性はあるものの、行為自体をコントロールすることはそれほど困難なことではなく、ネットゲームやギャンブルと違って、日常生活が破綻しうるほどの中毒性を持たない可能性が示唆されている。

そればかりか、家族や友人との関係を強化するなど、社会性の向上をもたらす可能性もある、とも述べられている。

〔PHOTO〕iStock

また、2019年3月に報告されたカリフォルニア大学の研究報告では、イッキ見は共感力を高める効果があることが示唆されている。ただし、当報告において、3時間半以上の習慣的なイッキ見は言語や記憶面での認知機能低下を引き起こしうること、テレビに気を取られながら食事をすると、通常よりも25%以上の量を食べてしまう可能性についても触れられている。メリットがあるといっても、やはり、長すぎる視聴は禁物ということだ。

節度をもってイッキ見するには

このように、イッキ見に関して、少ないながらもさまざまな研究結果が存在するが、これらを読み解くうえで注意したいのは、研究間でイッキ見の定義に若干のばらつきがあること、そして、どの研究も対象となる被験者の数が少ないことである。今後、イッキ見の定義が明確化され、大規模な研究が行われることに期待したいものである。

現時点で導き出せる結論としては、イッキ見にのめり込むことの危険性を認識しつつ、一方で、それを害悪と決めつけることなく、節度ある楽しみ方をすればよい、といったところだろうか。

節度ある楽しみ方をする方法のひとつとして、家族や友人とともに視聴することをおすすめしたい。自分ひとりで視聴していると、連続再生される動画を前に決めていた時間以上に視聴してしまうのは無理もないことである。でも、複数人で視聴すれば、お互いの時間の都合もあるため、だらだらとイッキ見してしまわずにすむかもしれないし、紹介した論文の記載にあるように、お互いの関係が強化してくれればいいと思う。

また、週末にひとりでイッキ見をすることが趣味の人は、最低限、朝は常識的な時間に起床し、3食しっかり食べ、生活のリズムを乱さないように気をつけてほしい。生活のリズムが乱れると、日常生活が破綻し、メンタルヘルス不調が生じやすくなるからである。

連休後に五月病に陥らないためにも、この10連休にイッキ見をする人は、以上の点に留意しつつ楽しんでいただきたい。