――世の中的には、“女優”とか“役者”、“俳優”とはこういうものだ、みたいなイメージが固定されているから、市川さんは、そういう概念の中に自分をはめ込むことに抵抗があるのかもしれないですね。

市川:自分で動こうとするときに、頭の中が、「これはこうじゃなきゃいけない」という既成概念や思い込みに支配されていたら、つまらなくなってしまいますよね。もちろん世の中には、法律のように、守るべきルールはあるけど、物をつくる現場で、“なんとなく自主規制をする”みたいな空気があるとしたら、私はそれを破りたくなってしまう。もっと自由に楽しんでもいいんじゃないかって思ってしまうんです。

この仕事をしている私の喜びは、人と一緒にものを作るということ。だから共演者や監督やスタッフの方の存在が大きいんです。お芝居をするという行為は、怒っていないのに怒るとか、落ち込んでいないのに落ち込むとか、気持ちを作るもの。それって、人間の生理からすると、不自然なことですよね。

セットもあって、脚本もあって、衣装があって……、いろいろ用意された上で、現場にいる人たちと一緒に感情を作っていくわけだから、そこでは無意識のうちに、お互いの“気”みたいなものを交換しているような気がするんです。最後はやっぱり、人が発するエネルギーに一番影響されると思います。だからこそ即興のセッションのような自由さがあって、面白いのかなと思います。

――市川さんが、作品に出演を決めるとき、監督、脚本、共演者など、何が決め手になることが多いですか?

市川:なにか一つでも、いいなと思うものがあること。出演者でも監督でも題材でも、「あ、面白そう」と感じるもの、そういう勘は大切にしています。