悪夢の「70歳以上も年金加入義務化」に備えて今スグやるべきこと

もはや年金と給料ではやっていけない
加谷 珪一 プロフィール

給料+運用益+年金の3本柱を目指せ

年金の減額分は働いて補うというのが標準的だろうが、当然のことながら、高齢者の場合、高い収入は望めない。政府が高齢者雇用の義務化を進めていることから、企業は定年の延長による総人件費の増大を強く警戒している。このため、一定年齢以上に達した人を管理職から外す役職定年や、再雇用時の年収引き下げを強化している。

先ほどの調査によると、役職定年になった人の9割が年収減となっており、4割が半分未満に年収がダウンしていた。年齢が上がるにしたがって、徐々に年収が低下し、最終的には半分以下になることも十分に覚悟しておく必要があるだろう。

そうなってくると、年金の減額分を労働で補うというのも簡単な話ではなくなってくる。この部分をカバーするためには、資産運用を強化するしかない。

これまでの時代であれば、退職金や現役時代の貯蓄などまとまったお金があれば、年金で足りない部分については貯蓄を取り崩す形でカバーできた。だが、今の時代は年金の減額に加え、思いのほか、長生きするリスクについても考える必要がある。

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基本的には働いて得る収入がベースになるが、これに資産運用によって得られる収入を加え、さらに高齢になった場合には労働の収入を減らし、代わりに年金収入を充てるというのが理想的だろう。では、具体的に資産運用はどのように行えばよいのだろうか。

ベストな資産運用は人によって異なるが、教科書的に言えば、いつの時代においても株式の長期運用というのが資産形成の王道であることに変わりはない。

日本の大企業は安全性の高い投資対象ではない

株式を長期で運用するためには、安定的に利益を出している優良企業に継続的に投資する必要があるが、日本においては少々やっかいな問題がある。それは日本の大企業が世界レベルではもはや大企業とはいえず、安全性の高い投資対象とは言えなくなっていることである。

すでに機関投資家の運用は日本株から距離を置き始めている。公的年金の運用を一手に引き受けているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国策として株式を運用しているので日本株を積極的に購入しているが、民間の機関投資家の行動はまったく逆である。

 

日本の企業年金におけるポートフォリオを見ると、近年、日本株の比率が大きく下がっている。アベノミクス以降、多少の上下変動はあったにせよ、日本株は順調に上昇してきたことを考えると、この動きは少々不可解だが、企業年金は日本株の比率を積極的に下げようとしてきたわけではない。

合理的な基準で投資対象を選別していく過程において、必然的に日本企業への投資割合が減ってしまった可能性が高いのだ。このような現象が起きる背景となっているのは、企業活動のグローバル化(標準化)である。