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悪夢の「70歳以上も年金加入義務化」に備えて今スグやるべきこと

もはや年金と給料ではやっていけない
人生100年時代と言われるなか、日本では、70歳以降の厚生年金加入が義務化しそうな雰囲気が漂っている。3月に『定年破産絶対回避マニュアル』を上梓した経済評論家の加谷珪一さんは「年金は失業保険に近い存在となる」と語る。私たちはそんな社会でどのように資産形成すればいいのか。

現在、70歳までとなっている厚生年金の加入義務について、さらに延長することについて政府が検討を開始したと報道されている。一定以上の収入がある高齢者の厚生年金支給額を減らす、いわゆる「在職老齢年金制度」の廃止についても検討が行われている。

政府は70歳以上の加入義務化について「検討に入った事実はない」と否定しているが、具体的な検討を進めているのはほぼ間違いないだろう。

これは、事実上の生涯労働政策であり、年金は失業保険に近い存在となる。こうした時代において重要となるのは、個人の資産形成であることは言うまでもない。

事実上、「生涯労働制」に移行

現在の年金制度では、賃金が月額8万8000円以上など、いくつかの項目を満たした会社員は、厚生年金に加入することが義務付けられている。これは高齢者も同じで、一度、リタイアした人であっても、会社員として働き始めた場合には厚生年金に加入しなければならない。

ところが、厚生年金は70歳で加入資格を失うので、70歳を超えて働く人は年金に加入できなくなる。

 

2018年時点で70歳以上の雇用者(役員除く)はまだ182万人だが、明治安田総合研究所が定年前の男女正社員2500人に対して行った調査によると、約8割が定年後も働きたいと回答している。今後、70歳以降も働く人が増えてくるのは間違いないだろう。

政府はこうした事態を受け、現在65歳までとなっている雇用義務を70歳まで延長する方向で議論を進めている。これに加えて、一定以上の収入がある高齢者の厚生年金支給額を減らす在職老齢年金についても廃止する方針を固めたとされる。年金減額を気にして就労を躊躇する高齢者がいることから、この制度を廃止することによって高齢者の就業を促進したい意向だ。

そうなってくると、70歳以降も厚生年金に加入するシステムにしないと年金制度と雇用制度との間で整合性が取れなくなる。政府が表向き否定しても、改正がオンスケジュールで進む可能性が高いと考えられていることにはこうした背景がある。

日本人の平均寿命は男性が80歳、女性は87歳なので、70歳以降も働くことを前提にすると、これは事実上の生涯労働制といえる。「死ぬまで働くなどゴメンだ」という人も多いかもしれないが、日本の場合には経済的な事情が許さない可能性が高い。具体的に言えば年金の減額と収入の低下である。

日本の公的年金は財政的に厳しい状況となっており、近い将来、減額が行われることはほぼ確実である。

政府は年金財政を立て直すため、マクロ経済スライド制を導入しており、今年度は久しぶりにその制度が発動される。これは人口減少に合わせて給付額を調整する仕組みであり、筆者の試算では、近い将来、2割程度の実質的な減額になる可能性が高い。

厳し目に見る識者の場合、3割減額という見通しを立てているので、少なくとも2割から3割は年金が減ると考えた方がよさそうだ。