突然襲ってくる便意! 潰瘍性大腸炎はどんな病気? がん化する?

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"お腹痛い"にもいろいろ

下痢や腹痛は、腸の症状としては代表的ですが、そうした症状をもたらす病気はいろいろです。

大きく分けると、次の3つのタイプがあります。

腸の病気は3タイプ

炎症性腸疾患
腸の粘膜に炎症が生じ、そのために腸が正常に働かなくなる病気
代表的な症状:腹痛 下痢 血便
機能性腸疾患
これといった病変が認められないのに、排便障害などを起こすもの
代表的な症状:下痢 便秘 腹痛や腹部の不快感(排便後は楽になる)
腫瘍性腸疾患
腸にできものが現れる
原因のはっきりしているもの(特異的)と、原因の不明なもの(非特異的)に大別される
代表的な症状:早期では便潜血(肉眼ではわからないくらいの微量出血)など

過敏性腸症候群は機能性腸疾患の、大腸がんや大腸ポリープは腫瘍性腸疾患の代表的な疾患です。

炎症性腸疾患は、感染や薬物など、原因がはっきりしているものと、原因が不明なものが含まれます。「風邪でお腹を壊した」などという場合は、原因が風邪のウイルスなどの感染によるものなので、感染性腸炎となります。一方、ここで問題にしている潰瘍性大腸炎やクローン病は、特定の原因が見当たらない原因不明のものになります。

原因不明って、ちょっと怖い気がしてきました。

炎症の現場、大腸の壁を見てみると…

では、一般に腸の炎症は、どこで、どのようにして起こるのかを見てみましょう。

腸には、小腸と大腸があります。いずれも、壁の内側は、やわらかい粘膜に覆われています。粘膜の新陳代謝は非常に活発で、組織の細胞は数日単位で生まれ変わっています。

また、口腔を通して外界とつながっている腸は、細菌などの侵入といった危険にさらされています。そのため腸には、侵入してくる細菌などの物質に対して、有害か無害かを判断し、有害な場合は、これを排除するための免疫システムが備わっています。そして、この免疫システムが正常に機能するためには、1キログラムにも及ぶという大量の腸内細菌たちが深く関与していることがわかっています。

腸のうち小腸は、胃に続く部分で、十二指腸・空腸・回腸に分けられ、胃から送られた内容物を消化液と混ぜ合わせ、栄養成分に分解し、吸収します。壁はひだのような凹凸になっていて、ひだには細かい絨毛が生え、絨毛にはさらに細かい微絨毛が生えています。

大腸は、小腸に続く部分で、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸に分けられます。小腸で栄養を吸収した内容物から水分を吸収して、固形の便を形成します。栄養の吸収よりも、糞便の形成を担う大腸の壁の内面は、小腸と違って凹凸はあまりありません。

【図】大腸の区分とそれぞれの働き
  大腸の区分とそれぞれの働き

炎症性腸疾患では、腸の粘膜が炎症を起こし、腸が内容物から栄養や水分を吸収し、便を形成して、体外に排出することが困難になるため、下痢や腹痛を起こすのです。

原因がはっきりしている炎症性腸疾患は、原因に対する治療を行うことによって完治につなげることができます。風邪でお腹が痛くなったり、下痢をしたりする感染性腸疾患(腸炎)は、感染のおおもとである風邪の治療で完治します。

潰瘍性大腸炎もクローン病も、この腸の粘膜に炎症が起こる病気ですが、炎症を引き起こす原因がはっきりしません。いったいどのように、治療していけばよいのでしょうか?

炎症が起こるのは、過敏な免疫システムのせいか?

原因のわからない潰瘍性大腸炎ですが、炎症が起こるしくみは、徐々にわかってきました。大腸で起こる炎症は、多くの場合、直腸から始まって、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸と、大腸全体に広がっていきます。

このような腸の炎症は、有害なものを排除する免疫機能が、自分の正常な組織や腸内細菌、内容物(食物)に対しても働いてしまうことは間違いないようだということがわかってきました。こうした本来無害なものに対する過剰な攻撃により、炎症が起こり、それを繰り返すため、症状が長期化してしまうのです。

免疫機能の過剰反応は、腸内細菌のバランスが乱れたり、食生活や生活習慣の乱れ、ストレス、遺伝的素因など、さまざまな要因が複合的に影響している考えられていますが、その先はまだ研究段階です。背後に免疫機能の過剰反応があることは間違いなさそうなものの、どのようなしくみで起こるのか、という根本的な原因ははっきりしていません。ゆえに、「原因不明」というわけです。

なお、クローン病は、腸の粘膜に炎症が起こることは潰瘍性大腸炎と同様ですが、大腸や小腸を中心に消化管内のあちらこちらに炎症が点々と生じます。