「バブル」は続くよどこまでも…もう誰も金利を上げることができない

景気のためには逆効果だが
大原 浩 プロフィール

金利を上げたほうが景気はよくなる

これまで述べてきたような不良債権の処理において、金利が低いことが好ましいのは言うまでも無い。経営破綻した企業が再生したり、生き伸びたりする可能性が高まるし、金融機関の損失となる「入ってくるはずであった金利」の絶対金額も少なくなる。

しかし、不良債権の処理ばかりを行っているのでは、経済が縮小均衡するだけである。経済発展のためには、積極的な経済活動が欠かせない。

景気拡大期であれば、資金需要が旺盛にあり「低い金利で借り入れ需要を喚起し、その借り入れによる事業で景気拡大」という好循環を生み出せるかもしれない。

しかし、景気が低迷し、不良債権問題を抱える中での低金利は、むしろ事業拡大のための融資にマイナスなのである。

現在の日本は、1990年頃のバブル崩壊のおかげですべてに慎重であったせいで、リーマン・ショックの傷も欧州や米国に比べれば浅かったし、その傷も10年を経てかなり回復している。

 

しかし、それでも銀行の融資姿勢は慎重だ。金利が低いからである。

例えば、標準的な貸付金利が年率10%であったとしよう。その企業に10年間貸し付け、最後の利払いが終わり、元本の返済前に倒産したとする。10%×10年=100%として、損失は出ない計算になる。

これが2%の金利となると50年必要である。

また、10%の金利で10社に1年間貸したうちの1社が倒産しても10%×10社=100%でチャラだが、2%の場合は50社に1社の倒産しか許容できない。

金融機関が貸し出しに慎重になって、返済が確実視される大手上場企業に「もういらいない」といわれながらも無理やり貸し出しをして、逆に有望ではあるがリスクの高い企業にほとんど貸し出しをしないのは、金利が低いからである。

金利が低ければリスクをカバーできない。したがって、経済を発展させる積極果敢な事業に貸し出しを行うためには、リスクを許容できるだけの高い金利が必要なのである。

さらには、読者の預金口座を考えてみよう。100万円の預金につく金利は、現在一般的な0.001%として年間10円である。これでは、タンス預金が増えても仕方が無いが、これが3%になったとしよう。3万円というのはちょっとしたご褒美である。高級なレストランで食事をしようとか、ジャケットを買い替えようと考えるだろう。

あるいは老後のために1000万円溜めた資金の利息が0.001%の100円と3%の30万円では将来の不安度がかなり違うはずだ。

確かに、欧州のように不良債権問題が泥沼化している国々では、不良債権問題のせいで金利を引き上げるのが難しいが、日本は幸いにして不良債権問題は「失われた20年」でもがき苦しんだおかげでかなり解消され、リーマン・ショックの重荷も比較的少ない。

だから、景気拡大をするために、日銀は「金利を上げる」べきなのである。