「バブル」は続くよどこまでも…もう誰も金利を上げることができない

景気のためには逆効果だが
大原 浩 プロフィール

もちろん、「金融機関」が倒産しないということになれば「経営者のモラルハザード」が懸念されるが、これに関しては「不正な経営」に関しては経営者に「刑事罰」を与え、刑務所でその罪を償うシステムをきちんと機能させるべきであろう。

実際、日本のバブル処理では少なくない数の金融機関経営者が訴追され、刑務所で罪を償っている。

しかし、金融機関を倒産させてはいけないとはいっても、不良債権にまみれた金融機関を、そのまま存続させてもかまわないということではない。

金融機関を守りながらも、不良債権処理は粛々と進めなければならない。この時に大事なのは、存続銀行に優良な資産だけを残し、不良債権は「バッドバンク」と呼ばれる不良債権処理を専門とする金融機関に移し替えてしまうことである。

一般企業の再生でも、存続企業に優良な部門を残し、不採算部門などを譲渡したり解体・清算するのが定石であるのと同じだ。

不良債権(不採算部門)の処理と、前向きな企業(金融機関)経営は、メンタリティにおいても技術面においても全く違うので、両者を1つの箱で行うことは極めて難しい。

 

その点で、日本の不良債権処理は、整理回収機構などを中心にして比較的うまくいった方である。しかし、それでも1990年頃のバブル崩壊から2012年末のいわゆるアベノミクスによるとされる景気拡大まで20年以上を必要としている。

それに対して、欧州の雄ドイツでは、ドイツ銀行とコメルツ銀行の合併が構想されている。このような事態に陥ったのはバッドバンクへの不良債権の分離をきちんと行わなかったからだが、不良債権まみれの銀行同士を合併しても大きな効果は期待できない。

ドイツでさえ、このような状況だから、ギリシャ、イタリア、スペインの金融機関の状況は目も当てられない。

米国については、リーマン・ショック後もGAFAなどのIT関連ビジネスの急成長で経済が拡大するという「神風」が吹いたので、比較的問題が少ない。また、トランプ政権になってからすぐに行った法人税の大幅減税も極めて有効な政策だ。ただ金融機関の不良債権処理は、大胆に行っているように見えるものの、まだまだ隠れた債務が存在するかもしれない。

好景気にもかかわらず、トランプ大統領が利上げに強硬に反対するのは、株価下落を恐れている他に、金融機関の隠れ債務問題の発覚を恐れているからかもしれない……。