「次世代プレステ」情報をSONYがリークした、たった1つの理由

そして任天堂はどう動くのか?

2019年後半〜2020年に向けて、ゲームビジネスが“新しい時代”を迎えようとしている。

日本人にとって「ゲームビジネス」というと、家庭用ゲーム機かスマホゲーム……という印象が強いかもしれない。だが、いま始まりつつある「次世代ゲーム戦争」は、それら既存のゲームの世界を巻き込みつつ、より広い市場を求めて、急速に立ち上がろうとしている。

「次世代ゲーム戦争」とは、いったいどのようなものなのか?

熾烈な闘いは、どのように火ぶたを切ろうとしているのか?

突然リークされた「次世代プレイステーション」構想

4月16日、アメリカのテクノロジー関連誌「WIRED」のウェブ版に掲載されたインタビュー記事が、世界中のゲームビジネス関係者を驚かせた。

タイトルは「WHAT TO EXPECT FROM SONY'S NEXT-GEN PLAYSTATION(ソニーの次世代プレイステーションに期待できること)」。

インタビューを受けているのは、著名なゲームクリエイターであるマーク・サーニー氏だ。サーニー氏は、ソニーの社員でこそないものの、プレイステーション4(PS4)でプラットフォームのコンセプトを決定するリーダーである「リードアーキテクト」を務めた人物。通称「PS5」ともよばれる次世代のプレイステーションでも、開発について主導的な立場にあると考えられている。

【写真】マーク・サニー氏
   マーク・サーニー氏 photo by gettyimages

インタビューの内容は、次世代プレイステーションのハードウエア的特徴に関する「プレビュー」だった。

PS4のソフトがそのまま動き、「レイトレーシング」という光の再現力に優れた描画手法に対応した新しいプロセッサー+GPUの組み合わせを搭載し、立体的な音響再現のしくみも採用される。さらに、ストレージをハードディスクからSSD(フラッシュメモリー)に置き換え、特殊なしくみと組み合わせることで、読み込み速度を従来の「19倍」近くにまで高速化する──。

要するに、「いままで以上に美しいグラフィックで、リアルな音響を備えたゲームが、ロード時間を気にすることなく楽しめるようになる」と考えていい。発売は「2019年中はない」とされており、2020年と予想できる。

このインタビューはもちろん、プレイステーションビジネスを展開するソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)による公式なリークである。初のお披露目を大規模な発表イベントではなく、特定のメディアへのインタビューという形にするのは、きわめて異例の事態だ。

ライバルの機先を制す──マイクロソフトを出し抜いたソニー

SIEはなぜ、異例のリークから「次世代」を語ることにしたのか?

その明確な理由を、SIE自身は語っていない。だが、予想することはできる。

毎年6月には、アメリカ市場向けのゲームイベントである「E3」が開催される。今年のE3では、SIEのライバルであるマイクロソフトが、新しいゲーム機とゲームプラットフォームについて、詳細を発表するものと見られている。

【写真】E3 2018
  ロサンゼルスコンベンションセンターで開かれたE3 2018 photo by gettyimages

そのE3への参加を、SIEは今年から取りやめている。SIEのE3撤退理由については、今回の話題に直接は関係しないので説明を省くが、ゲームシーンの変化にともなって、「大手メーカーが集まって開く複合イベント」よりも自社イベントに注力するため……と考えられている。

いずれにしても、ライバルが6月に動くのなら、それに近い時期に情報を出すのは当然の戦略だ。4月中のリークは、6月を見据えれば決して「早すぎはしない」。

予定どおりの方針だった可能性もあるが、もしかすると、予定を少し早めたのかもしれない。ゲームのプラットフォームについて、“大きな新潮流”が見えはじめているからだ。

競合するのは、マイクロソフトや任天堂といった、これまでの「家庭用ゲーム機」におけるライバルだけではない。アップルやGoogleなどが相次いでゲームビジネスに対する姿勢・方針を変えてきている。

SIEが単純にそれに刺激された、というわけではないだろう。だが、彼らの動向を受けて、「次世代への動き」についての情報公開を早めた可能性は、ゼロではない。